対面の刻 稲妻が纏った剣を握り締め直した。 そして迫ってくる大きい刃を剣を振って弾き返した 剣を振るった腕がじんっと痺れた 相手はくるっと黒衣を翻して受け身をとった。 虎太はチッと短く舌打ちをすると剣を構え直して相手を見据えた。 黒衣が全身を覆い尽くしており見えるのは足の肌のみ。 手に構えられているのは多分デスサイズと呼ばれる代物だろう。 長い取っ手と大きな弧を描く刃を見てそう理解した。 顔は見えないけどアレは死神だ なぜこの桃山にいるかは知らないが多分誰かの魂を狩りに来たのだろう だが桃山町民の魂は俺が食らうか西園寺が黄泉に連れて行くかのどちらかだ だから死神にくれてやる魂はない。 そう思って剣を強く握った。 もうすぐ丑の刻も終わりを告げる。 早く済まさねばと死神へと突っ込んだ 奴はまるで想定していたようにそれを受け入れた。 背後から迫る刃にヤバイッと思ってその場に神力を貯めて代を作り飛び跳ねた。 竜持と凰壮からも今回の仕事は終わったと言う知らせが来たことだし今回は一度退却する。 本当は背中を向けるようなことは仕方ないが生憎今日は新月で月がない。 神に近い存在の自分には分が悪い。 ついでに今日は赤口の為尚更だ。 次逢ったときは絶対葬る。そう決意を込めて睨み付けた 黒衣の下から一瞬見えた虚ろな青紫の瞳に全身に電気が走った。 |