特異眼の代償

竜持視点



植松君が目を開いてくれない
とは言っても彼は起きているから寝てるからとかましてや死んでるからとかではない。
それに今彼は部屋の壁に寄りかかって座っているのだ
彼は自分の意志で自分の瞼をおろしているのだ。ぎゅっときつく。
何も見たくないとでも言うかのように・・・。
「植松君」
「やだ」
「僕何も言ってないんですけど・・・」
「やだ」
先程からずっとこの応酬の繰り返しだ
僕は密かに溜息を吐いた
もう彼は魔眼封じの眼鏡を掛けているというのに・・・。
「もうやだ!!こんな目嫌いだ!!!こんな目抉りだしてやる!!!!」
植松君は急にそう言いだしたかと思うと自分の閉じてる目に無理矢理指を突っ込もうとした
僕は咄嗟に彼の両腕をサイコキネシスで上に上げ壁に付けた
目からは血が流れていて少し遅かったかと思ったが後で内村君に頼むことに決め、今は特に気にしなかった
とりあえず植松君に近づくと開いている足の間に入った。
一瞬だけビクッと震えたのを見たが特にそれも気にせずに植松君の両頬に手を添えた
それでも植松君は目を開こうとはしなかった。
僕は彼にこんな思いをさせるようなことをした今は亡き奴らに怒りを向けながら植松君の目から流れ出る血を舐めた。
それに気付いたのか植松君は激しく肩を跳ねらせると「何してんの竜持!!!?」と叫んだ
それだけで何処か満足しながらも僕は行動を止めることはしなかった
ぺろぺろと植松君の目元を犬のように舐めた
「もう本当に止めろよ!!」
と言う声を発しながら植松君はやっと目を開けた。
僕はそのまま植松君の顔を持ち上げると植松君の眼球をぺろりと舐めた
「ひゃぁ!!?」と植松君が驚いた声を上げた。まぁ、眼球舐められて微動だにしない人なんてそうそういないだろうけど
僕はまた瞑ってしまった瞼にキスを一つ付けた
そして顔を少し放して植松君を見守った
すると植松君はゆっくり目を開くとレンズの向こうからこちらを見てきた
そしてレンズ越しに目を合わせると顔を一気に赤く染め上げた
「やっと見てくれましたね」
そう微笑んで言うと彼は下を向きながら小さく
「竜持のばか・・・・」
と呟いた。
特異眼の代償
(僕は絶対に彼を傷付けた奴らを許さない)





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