昼 ―side蔵




その頃右で頬杖をつきながら白石は思想に耽っていた
今朝喧嘩を売ってきた少女。どうしても彼女の事が気になって仕方ないのだ、
何が理由で彼女は急にあんな事を言い出したのだろうか。
日付はいつでも良かったのだろう。これと言って気にする様な子ではなかった(酷いとは思うが)
では何が理由で?白石は箸で弁当を突きながら考えた。
彼女が俺を好きとか?それはない。合ったとしても普通あんな事は言わないだろう。
じゃあ他に・・・・そう思案して何故か一つの回答が浮かぶ。
とは言ってもその可能性は難しいんじゃないかと思う様なもの
あの子が好きな子、または大切な子が俺を好きで、それを認めたくないから・・・・――
そこまで考えて白石は首を横に振った。
そんなわけがあってたまるか。女性恐怖症の自分にとってはあまり嬉しくないことである。
では、何が理由なのだろうか――――
考えがループしていることに気がつかず白石は色んなポーズを取っては悩むので、ソレを見ていた人たちが「白石、今日はいつにもまして奇行子やな・・・」なんて思っていた。
その時、教室内にスピーカーから音が溢れる
『昼の放送の時間や!!今日の担当はうち、忍足謙やで!ほなよろしゅう!では早速連絡始めるで、まずサッカー部の顧問からやサッカー部は至急――――」
その声は1年の頃と今、同じクラスにいる女子生徒―――忍足謙の物だった。
放送部に所属していて何かと連絡を"至急連絡"にしてしまうある種の問題児
自分と同じテニス部の部員で(とは言っても彼女は女テニだが)『浪速のスピードスター』の異名を持つほどの足の速さを誇る。
唯一学校の女子の中で仲が良かった存在である。
―――とは言っても自分の所為でその友情に罅が入ってしまったのだが。
そう言えばと思った。
今朝白石に喧嘩売った子も忍足謙もテニス部ではなかっただろうか。
喧嘩売った子はあまりにも影が薄い方で忘れかけていたが、結構謙と仲が良かった気がする。
そこまで考えて白石は項垂れた
ソレは期待しすぎだろ。謙が俺のことを好きなわけがない。
だって俺は彼女を―――――――己が手で傷付けたのだから。






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