紅い悪魔 ※銀オフ×庭球のクロスオーバー 「お兄さんなにしてんの」 腕立て伏せをやっているとき上から声が聞こえた。 誰だよなんて思いながら丁度100回になったから作業を止めて身体を起こした。 そして眼の端で赤い服を着て屈んでる自分より少し小さい男の子が映った 誰だよなんて思って目をそちらに向けると見たこともない子だった。 髪は真ん中分けで赤いバンダナを首に巻いていた。(と言うか掛けていた) 「あんた誰」と問いかけると「人間」と短く返ってきた 馬鹿にしてんのかなんて思ったが此処は年上らしく口にしないでおこう。お、俺大人〜♪ 「そうじゃなくて名前きいてんだよ。ここらじゃ見かけないから聞いたんだけど」 と言うと「だって旅行できてるんだもん」とソイツは言った あっそうなんだ。そりゃしらねーわけだ 「俺の名前は降矢凰壮。お兄さんテニスしてんでしょ。テニスで誰かに負けたクチ?」 奴は的確にこの状況を判断してそう言った 分かってるなら聞くななんて言ってやりたいが年下は年下。俺だって中学生大人な反応してやろうじゃないか 「そうだよ。俺が行ってる中学校にさめっちゃ強い奴らがいるんだよ。ソイツに勝てば全国の中学生の中でナンバーワンになれる。そう思って挑んだんだよ。」 「そしたらその人たちに負けちゃったって訳?」 「―――3人以外は倒せたんだ。だけどさ、残った三人が一つしか違わないのに強いんだ。ありゃ化け物だね」 そこまで教えればガキはふーんと鼻を鳴らした。 「俺もさ、最近テニスちょっとやり始めたんだよね」 ソイツはそう言った。 こんなガキが?なんて思ったけどテニスには年齢なんて関係ないんだと思い出した 「最近やり始めたって事は今までやってなかったのか?」 そう尋ねると奴はうんと頷いて 「前はサッカーやってた。俺三つ子でさ、他にも同い年の兄貴が二人いるんだけど三人でやってたんだ。だけどコーチが超つまんなくて弱くて止めた」 俺に合わなかったんだよね。奴はそう言った。 いやサッカーなんだからお前らが周りに合わせればいいだろなんて思ったが確かにクソだと思う奴に合わせるなんてどうかと思うななんて思った。 それと少しだけ此奴の生意気さが見えた気がする。 だけど嫌いじゃないなんて思って口元を緩めた 「それでさ、それを踏まえて思ったんだけど」と奴は前置きすると面白いことを言った。 「やっぱりボールは丸いよな」 そりゃ丸いだろなんて噴き出した。丸くないボールなんてアメフトのボールぐらいだろ。別に四角い訳じゃないが。 「それに化け物足二本だよな」 奴は続けて常識を述べた。確かに犬とやってるわけじゃないし相手は自分と同じ人間だ。足は二本だろうよと言うと凰壮はニッと微笑んでいった。 「だからさ、勝てないわけないだろ?」 それに楽しくない訳ないでしょ やつはそう言った。 あ、そっか。俺はなんて馬鹿だろうと思わされた。 確かにテニスボールは丸い。そして相手は自分と同じ人間だ。 いつかは勝てるはず。 このガキ以外と良いこと言うじゃねぇかと思ってすっきりした心で思った。 「赤也。」 「は。」 「俺の名前は切原赤也。最強のテニスプレイヤーになってやる。」 俺はそう言って立ち上がった 「だからさ、あんただって人間――――」 「残念だけど俺は悪魔だぜ」 だから人間に負けるわけがないだろ そう言って俺は笑った。 彼ははいはいって笑って拳を突き出してきた 「じゃあやってみせてよ。テレビで中継してたら俺が見てやる」 ていうかテレビに出ろよ。 そういった彼に拳をゴツンと当てて「絶対やってやる」といった。 そうすると遠くから凰壮の服の緑バージョンを来た奴が走ってきた。 それを見ると凰壮はじゃあ俺は此処で―と立ち上がった。 そうして彼は立ち去っていった。 その次の日、俺はまたあの三人に立ち向かっていった ―――――――――― 「凰壮君、そんなの見て楽しいんですか」 中学テニスの試合を見ながら竜持は顔をしかめた。 「またテニス始めるのか?」 虎太は不思議そうにそう言った。 別に、そんなんじゃねーよ。そう言いながら俺は一瞬たりともテレビから目を外すことはしなかった。 手にしてるDVDのケースには『立海大VS青学』と黒ペンで書いてあった。 誰だかよくわからないおっさんから貰ったそれ。 最初はサッカーのかと思ったらテニスの試合で少しつまらなかった。 だけどダブルス2が始まったとき俺はそれに見入ってしまった 5年生の時にあったお兄さんの試合だったからだ。 正直言って試合自体は痛々しい。 こんなのスポーツじゃないって何気見ていた虎太が言った。 その通りだ。俺の知ってるスポーツじゃない。俺の知ってるテニスじゃない。 竜持の言い分も分かる。こんなの見て楽しいか。そう聞かれたらはっきり言ってNOだ。 ぶっちゃけ言うとあのお兄さんの試合は楽しいと思える試合が本当に少なかった。 関東大会の試合もそうだった。 そう言えば関東大会の試合のDVDを持ってきたのはおばさんだったけど、今回持ってきてくれたおっさんと同じ会社の人だったなと試合を見て思った。 ボールは丸い。 だけど―――――― 「こんなの人間の戦いじゃない」 俺はそう呟いて肌が紅く染まったあの日の面白いお兄さんを見つめた 何かが頬を伝った気がした。 紅い悪魔 (それはお兄さんの中にいる天敵) ―――――――― 最初は玲華ちゃんと幸村の話が書きたかったんですけどね(笑) 銀オフと庭球って似てるものあるなぁと思ったのがきっかけです。 スポーツアニメだから何でしょうが(笑) 「スポーツは、サッカーは楽しい筈」そう思ってる玲華ちゃんとスポーツを楽しめなくなった幸村様の話を最初は書こうと思ってました。 だけど相手がでかすぎて玲華ちゃんが可哀想になったので止めました(苦笑) その代わりと言っては何ですが凰壮君と赤也の話にしました。 この二人は話が合いそうだなと思ったんです。 それに凰壮君テニス経験がありますからね。尚更かなと。 赤也は根ではテニスを楽しみたいって言うのが分かってる凰壮君だと思います。 子供ながらに大人ですから(笑) だからテニスを楽しめない赤也を見てて辛いんだと思います。 それでも見るのは赤也がテニスを完全に楽しめる瞬間が見たいからだと思うんですよね。 凰壮君5年生なのに「ボールは丸い」を言っちゃってることは気にしないでくださいw 5年生と中1のが個人的に良いかなと思ったんです・・・!← 次があったらWスピードスターの話か玲華ちゃんと跡部様の話を書きたいなと思っています。 Wスピスタはもうアレは兄弟でしょ← 跡部が玲華ちゃん可愛がってるのが見たいだけだったりします(笑) そう言えばペテン師仁王様、三つ子見分けられるんでしょうかね 三つ子と翔君はペテン様見抜けそうですが(笑) 柳と竜持君とかもいいなぁ・・・・ ソレよりスミレばあちゃんに説教されてる花島コーチが見てみたry |