浴衣 ※女体化注意 「今日夏祭りがあるんだけどさ、みんないかない!?」 プレデターの練習が終わった後、我らがキャプテン翔君が相変わらずの大きい声でそう言った。 そうか、今日は夏祭りだったっけ。なんて思いながら隣で行きたそうな顔をしているエリカさんに 「そんなこと急に言われても普通友達と行く用事有るでしょう。ね、エリカさん?」 と皮肉を込めて聞いて見る。 彼女の反応が楽しくて止められないんです。ごめんなさいね?って心の奥底で謝りながら 「はぁ!?いや別にそんな用事ないけど―――」 「え、エリカさん誘える友達いないんですか?!可哀想な人ですね。だからこんな男だらけのサッカーチームに入ってるんですね」 「それどういう意味やねん!!!うちに友達くらいはいるわ!!!!それとサッカーチームに入ってるのはうちがサッカー好きやからじゃド阿呆!!!」 「え?だって普通の女の子は夏休みの1週間前に友達と約束入れるモンじゃないんですか?なのに用事がないなんて・・・」 「いてこましたろうか」 本当に彼女の反応が楽しくて仕方ない。 彼女で遊んでいたらそろそろ止めてやれよと凰壮君が言うので満足したから止めることにした。 「そんで、高遠は行くんだな?西園寺はいけるか?」 凰壮君は今にも噛みつきそうなエリカさんを抑えながらそう、西園寺さんに聞いた。 西園寺さんは少しためらうと虎太君を気にしながら 「私も行きたいな・・・・」 と言った。そんな彼女に凰壮君は「じゃあ行くか。けってーい」と言って翔君に伝える。 もしかしなくても凰壮君。三つ子全員出勤ですか。 虎太君は行きたいんですかと聞いて見ると彼は如何にも行きたそうな目をしてうんと言葉はなくとも頷いた。 ですよねーと何処か思いながら覚悟を決める。 実は人混み得意じゃないんですけど、なんてサッカーやってる人が言う台詞じゃないから飲み込んだ。 「どうする?植松君とかにも話しかけてみる?」 「そうだな、息抜きに来い。来ないと受験落ちるって脅しかけるか」 凰壮君それはあんまりですよなんて思いながら植松さんも来るのかと嬉しく思った。 もしかしたら人のことに敏感な凰壮君のことだからそれを分かって言ってる?なんて疑いそうになりながら返事を期待する。 「あ、コーチと杏子さんは強制送還な」 「よし、任せてください」 とりあえずコーチと杏子さんを呼び出す策を脳内で組み立て始めた。 コーチ達は上手いこと強制送還がいったらしく翔君達に捕まったらしい。 じゃあ僕らも行きますかと 言った瞬間に僕の携帯が鳴り始めた。 何事かと思って発信者を見ると植松さんで驚いた。 僕は落ち着きながらも電話に出ると彼女は一言目に「着付けできる?」と聞いてきた。 は?と思いながら彼女に詳しく聞こうとした。 その間に虎太君を連れて凰壮君は先に家を出て行ってしまったらしく嵌められたと気がついた とりあえず女性物の浴衣の着付けは母のを手伝っていたというのもあり出来るには出来ますと彼女に伝えると、浴衣もってそっち行くから頼んだと言われた。 母はどうしたんですかなんて思いながら溜息を吐いた。 あまり時間が経たないうちにチャイムが鳴った。 はいとインターホンを覗くと先ほど電話してきた彼女がいた。 彼女はこんな時にごめんと言うとぎゅっとバッグを握りしめた 僕は自分が頼られたところを何処か嬉しく思っているらしく 「大丈夫ですよ。今から鍵開けますので待っていてくださいね」と伝えた そうしてからインターホンを閉じると玄関を開けるために廊下を走った。 ゆっくりとドアを開くとやはりそこには植松さんがいて、「入ってください」と告げると彼女は失礼しますと言って家の中へ足を踏み入れた。 「急にどうしたんですか。着付けなんてお母さんに頼めば良かったじゃないですか」 そうリビングに案内しながら問うと彼女は気まずそうに「母さんの目を盗んできたから」と答えた。 成る程。やはり母親は賛成しなかったのかと納得した。 着きましたよ。バッグはソファーの上に置いておいてください そう告げながら扉を閉めてカーテンを閉める。 彼女は僕のその行動に疑問を感じたらしく何やってるのと首を傾げた 僕はそんな彼女が可愛らしくてつい噴き出してしまった。 その事が勘に障ったのか彼女は眉間に皺を寄せるとなんだよと呟いた 「いえ、流石に着替えてるところ見られるのは嫌だろうなと思ってカーテンを閉めたのですが・・・・駄目でしたか?」 皮肉を入れない様に気にかけて発言してみると彼女は成る程と手を打ち合わせた それじゃ着替えましょうかと言うと彼女はうんと頷いて来ていたTシャツをダイレクトに男らしく脱ぎ捨てた。 うぉおう!?と急に露わになった素肌に驚きながらも彼女の脱ぎ捨てたTシャツを拾って畳んだ 「もう少し恥じらいを持った脱ぎ方出来ないんですか!?最近の男の子でも少しは恥じらい・・・・ます・・・よ・・・・?」 彼女にそうツッコミを入れながらも同じ屋根の下で過ごす兄弟のあり方を思い出して「あれ、そうでもない?」なんて不安に駆られる。 あの二人は変わってるんだ。そう勝手に決めつけて浴衣を羽織り始めた彼女の手伝いを始める。 上手く羽織れると彼女は浴衣の裾を掴んで両手を広げる。 僕は両側に垂れる襟を掴んで交差しようとした瞬間一瞬固まった。 小学生にしては豊富な胸が目の前にあるという事実 それに彼女は普通の大人よりは小さいながら結構良い形を・・・止めようこういう考えしてるなんて僕らしくない。 そう思いとどまってどうにか意識をそらして交差する そうしてから彼女に此処を抑えておいてくださいと告げてバッグから帯を取り出す。 予想通りの半幅帯で、今の世の中作り帯もあるんですよなんて呟きながら記憶を手探りして巻く。 きつくないか大丈夫ですか?と言いながら走って母の部屋に向かい、等身大くらいの鏡を持ってくる。 彼女は色んな角度から浴衣を見ると少し照れくさそうにありがとうと答えた。 「でもやっぱりあんまり似合ってないよね僕。本当は着る予定なかったんだけど凰壮君が・・・」 とまで言って彼女は項垂れた やっぱり彼か。後でお仕置きをすると心で決めながらふぅと溜息を吐いて鏡と一緒に拝借した髪飾りを取り出す。 そうしてからどうぞと言って椅子を差し出す。彼女は渋々ながらもどうもと言って椅子に腰掛けた。 「上手くできなかったら止めますので」 僕はそう言って失礼しますと彼女の髪を触った。 彼女の髪は凄く柔らかくてずっと触っていたいなんて思ったけどそんなことしたら確実に植松さんは怒るので自重して髪を留め始めた と言っても母の見よう見まねである。 あまり母は髪が長くなかったので彼女にも丁度良いかなと思ったのだが・・・・・ 「あ、できた」 間抜けな声が自分の口から出て本当に驚いた とっさに自分の口を押さえてしまったが、無意味なことなのは承知済み 彼女は凄いと感嘆の声を上げる。 悪くは思っていないことにホッと溜息を吐くと笑みを作って「こんな感じで大丈夫ですか」と問いかける。 彼女は勢いよく振り返るとありがとうと言った。 その姿が愛らしくて抱きしめようとした自分をどうにか抑えた じゃあそろそろ行きますかと問えば服をおいていって良いかと問い返される。 どうせ僕の家で着替えるんですからなんて笑って言えばそれもそうだねと返された。 どうやら前に鼻緒を切ったことがあるらしくてサンダルを履いてきてた。 良い考えですねなんて思いながら先にスニーカーを履いてドアを開けて外で待機する。 彼女は急ぐ様にサンダルを履くとこちらへ駆け寄った そしてからドアを閉めると「忘れ物はないですか?」と問いかけておく 彼女はうんと頷いていたのでポケット中に入っている鍵を転がしながらそれじゃ行きましょうと彼女の手を取った。 彼女は驚いた顔したけど凄く照れくさそうに「何してるんだよ」と小さく文句を言ってきた 僕はそんなことを耳に入れてないフリをして彼女の手を引いたまま歩き出した。 どこを通れば遠回りになるのかを頭で考えながらこのひとときを楽しんだ。 |