覚めざらましを



鳴り響く目覚まし時計で目を覚ました。
伸びをしてからカーテンを開けた。
朝の光が部屋中に広がり朝だと脳が判断した。
今日は朝練する予定だったので時計を見てからクローゼットからテニスウェアを取り出した。
そして着替えてからテニスバッグを背負って携帯を持つと階段を下りて、玄関にテニスバッグをおいてから洗面所に行って顔を洗う
起きてくる家族に挨拶をしながら朝ご飯を済まして歯磨きをしてバッグを持って出かける。
いつも練習している壁打ち用のテニスコートへ着き、誰もいないことを確認して以前友達と作った彼のマークが描かれたテニスボールを握りしめて壁に相対した。
しばらくテニスをやっていると相変わらずの下手くそ加減に嫌気が差したのかテニスボールは逃げるように変な方向へと飛んでいった。
早く取ってこないと。そう思ってボールが飛んでいったところへ走り出した
「ねぇ、まだこれ使ってるの?恥ずかしく無いの?」
そう言って彼はボールを持って自分の前に姿を現した。
少しだけ身長伸びたんじゃないかとどこか思いながら実感が湧かずにぼうっと現れた彼を見つめた。
彼はボールを持ってない手を目の前でひらつかせて「生きてる?」といった。
ハッと我に返って今一度彼を見つめ直した。
「本当にリョーマ君?」
夢じゃなくて?
そう問いかければ彼は「夢に思えるならそれで良いよ」といった。
そうして彼は持っているテニスボールを渡すように突き出した。
嬉しくなってそれを受け取ろうとして手を伸ばしたとき―――


―――けたたましい音が耳内に響いた。
夢オチってこういうのいうんだっけとどこか覚醒しきっていない頭で思いながら周りを見渡した。
そしてアレが夢だと思い出すと急に涙が浮かび上がった。
そして昔美しすぎる女性が歌ったように思った



夢だと分かっているなら目が覚めなければ良かったのに。
(夢と知りせば 覚めざらましを)





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