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その人はいつも冷たい目をしていた。どんよりと暗くてその視線がどこに向かっているかもよく分からない、ひどく冷めた瞳だった。
私と同い年のその人はとても整った容姿をしていた。それでいて、いや…だからこそ、女生徒からのとても人気があった。学校内の指折り数えるほどしかいない人気の男子のリストにはいつも彼の名が上げられていたし、彼のファンによる取り合いごっこも日常茶飯事だ。誰から見たって彼は格好いい、きっとこれは全米が認めるだろう。
切れ長の少しだけつり上がったクールな目元やスッとした鼻梁。それらは少々女性を思わせるものの、平均よりもはみ出た背丈や意外にしっかりとした控え目な巨躯を見てから彼を女性と間違えるような人がいるとは思えない。ついでに言うと彼は一度目にすれば恐らく来世の一生が終わるまで忘れられないであろう前衛的な髪型をしている。
そんな彼は名を花京院典明と言う。特別変わった所ない普通の男子高校生で先ほど言ったように女生徒からの人望に厚い。フットワークも軽く、恐らく彼に嫌悪感を抱く人物はこの学校にはいないだろうくらいの好青年である。けれども誰とでも同じように話して笑いかける接し方はいつでも彼と他人の間には見えない壁があるようだった。きっと、分け隔てなく誰にでも注がれるあの冷涼な光には人を近付けさせない何かがあったのだ。

とりあえず問題なのはどうして私がこうして長々と花京院典明について語っているのかという事。

「き、君には見えてるのか」

「えっ」

このメロンが見えるの私だけじゃないの…?



ここまで

Dec 28, 2014 21:08
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