アンナに見透かされる
今日はすごく調子が悪い
立っていることも儘ならず、とてもみんなの前にでられる状態ではなかった
自室にベッドに横たわっても、頭痛と吐き気は止まらなかった
さっきから浅い眠りを繰り返して、もう何度目か分からない天井と対面した
ぐるぐると歪む天井を眺める
すると、控えめなノックの音と「ナマエ、入っていい?」という小さな声が聞こえた
「アンナ?どうしたの」
自分でも聞き取りずらいかすれた声だった
ちゃんと聞こえたかな、と不安だったけどアンナは返事をしてくれた
「お薬と、お水… 出雲から預かってきた」
「ごめんね、ありがとう」
上体だけ起こして物を受け取る
正直、今はゆっくり寝ておきたいけれどせっかくアンナが来てくれたので
薬を飲み込む
「ナマエ、顔色悪い…大丈夫?」
不安げに顔を覗き込まれる
「大丈夫だよ、アンナ ごめんね、心配かけて」
上手く笑えただろうか
こんな小さい子にまで心配されるなんて本当に情けないよ
もう一度アンナに目を向けると何か言いたそうな顔でこちらを見ていた
「ナマエ、嘘ついてる
本当のこと言って」
「…!
アンナには隠し事できないね」
アンナがストレインだってこともあるんだろうけど、もともとこの子は感というか人の変化に気付きやすい性格なんだと思う
ゴソゴソとポケットから赤いビー玉を取り出して、私をそのビー玉越しに見つめる
ダメだよ、今の私のナカミはとても暗くて重いものだから
そんな汚い感情をアンナに見せる訳にはいかない
「見ないで、」
やんわりとビー玉を手で覆ってこちらがみえないようにした
アンナはハッとした顔で小さく「ごめんなさい」と俯いてしまった
「ごめんね、アンナ
全然気にしなくていいから」
なんだか悪いことしちゃったな
また今度可愛い雑貨を買いにショッピングに連れて行ってあげようかな
そっとアンナの頭を撫でてあげると俯いていた顔を上げてくれた
「また元気になったら、一緒にお買い物に行こう」
すると、ニコリと笑って「うん」と返事をしてくれた
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