晴れやかな青空。窓から差し込む日の光は眩しくて、小鳥のさえずりも聴こえてくる心地よい朝。

ああ、今日はなんて良い洗濯日和。

我が家の洗濯機は水音と機械音を立ててさっそく仕事をしてくれている。
溜まっていた洗濯物も大体消費した。
あとは…

「朝ですよー」

声をかけても反応は無し。2時間ほど前、枕元でアラームが鳴り響いてもピクリともしなかったのだ。これくらいで起きるわけがない。

「おーきーてー」

今度は身体を揺すりながら耳元で喋る。
するとようやく「えー…」と呻くような声が返ってきた。しかしそれだけで、目を開けようともしない。

「起きてくださーい」
「休みだからいーじゃん…」
「今日は良い天気だからお布団干したいの」

そう言うと彼はやっと半分だけ目を開いた。
起きてくれるのかと思いきや、また目を閉じて駄々を捏ねるように言う。

「チューしてくれたら起きる」

…成人男性が「チュー」って、おい。寝ぼけてんの?

「馬鹿なこと言ってないで、起きなさい」

手を引っ張って起こそうとしてみても、無駄にでかい体は動かない。そんなに起きたくないのか。

「無理…チュー…」
「もー…」

寝言のように呟く彼を見下ろしながら呆れた声を出す。

「わかった。キスしたら、起きるのね?」
「してくれるの?」

彼の目が急に開く。寝たフリかよ、おい。

「目、瞑って」

ため息をつき、そう言うと彼は素直に目を閉じる。それぐらい従順に起きればいいのに。

繋いだままだった彼の手を眺める。
この手は好き。小さくて丸っこい私のものと違って、大きく筋張った手。細長い指と爪は良い形をしていて、綺麗だと思う。彼の身体の中で一番好きな部位かもしれない。
私はそのまま手の甲に口づけた。

「えー…」

不満げな声とともに彼の目が開く。

「どこに、とは言わなかったでしょ?ほら早く起きて」
「ちぇっ」

拗ねた声を出しながら、のそのそと彼が起き上がる。

「じゃあ俺から」

そんな声が耳元から聞こえたと思った直後、頬に触れる柔らかい感触。
自分からしてちゃ意味がないじゃない。と文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、今日の天気のように晴れやかな笑顔を見ると何も言えなくなった。

「おはよう」



目覚めは君のキス



Lips Drug
お題:目覚めのキス

2011.11.09.





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