nine

緑間に抱き締められた。離さないとでも言うように、胸に顔を押し付けられた。鼻いっぱいに緑間のにおいがひろがる。くらくらする、ドキドキする、安心する。あぁ、私、緑間が好きなんだ。無意識にそう思った。緩く背中に手を回して制服を握る。きゅっと握れば更に強く、抱き締められた。囁くように、か細い声で好きだ、そう聴こえた。
胸が高鳴る。ドキドキドキドキ、私も、私もだよ。私も緑間が好き、大好き。
彼女ができたとき、正直凄く嫌だった。高尾にほんとにいいの?と聞かれたときは本当は横に首を振りたかった。彼女が緑間に抱きついたとき大声で泣きたかった。それくらい、いつからか緑間が私のなかで大切な存在になっていた。気づかなかった。気づけなかった。

『私も、好き、』

心のそこから、自分の思いを吐き出した。

[ 10/11 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -