掴んだら離された。それを追いかけたら逃げられた

『なんで逃げるの』

「いや・・・」

なんでも、と彼は目を逸らし頭を掻く。じゃぁ手ぇ繋がしてよ、と言えばなにも言わずに後ろに手を引っ込める。だんだん腹がたってきたので有無も言わず、連勝の手を無理矢理掴んだ。

「・・・!」

私に手を掴まれた瞬間、ぐっと身を引いて離れようとしたが、私はそれを許さなかった。両手で右手を固く掴み、連勝の瞳を見る。私と目が合えば、離してくれないかと言わんばかりに瞳が揺れていた。

「・・・天財さんが怒るからさー・・・」

ずっと口を開かなかった連勝がポツリと言った。なぜ天財・・・?
それから、はぁーっとため息を吐いて話し出した。

「俺だってさー、雅に触れたいよ?スキあらば乳揉みたいぐらい」

『おい。』

「ぎゅーぎゅーちゅっちゅしたいよー?でもさー、うーん、ね。」


連勝の話によれば天財が、私に手を出すなよといったらしい。

『それは別に触るなっていう意味じゃないでしょ・・・』

「え、そーなの」

『それに、天財の言うこといちいち真に受けてたら大変なことになるんだから適当に返事しとけばいいのよ』

きっぱりと言いはると連勝は数秒眉をあげていたがすぐにふわりと笑って私の手を握り返してきた。吃驚して手を引っ込めそうになり、連勝が私の手を引っ張って自分の腕の中に私を納めた。





(連勝くん!雅に手ぇ出すな言うたやんか!)
(あーはいはい)


▽なにこれ。



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