出来るものなら俺が貰いたかった。皆に人気があって姉御肌な雅が欲しくて堪らない。だがしかし、恋愛禁止を易々と破って今じゃおチビちゃんの彼女でどうにしたって手の届かない存在になってしまった、誰かをこんなにも好きになったのは初めてに等しくてどうすればいいのかわからなかった。

「情けないな・・・」

人の彼女を落とそうと必死になっている俺が。もし雅が俺を好きになってくれたら、俺が奪ったらどうなる?確実に翔やトキヤに見放される。それがとても怖かった。そんなんになってしまうならいっそ閉じ込めてしまえば問題はない。

『神宮寺?』

「っ・・・雅・・・、」

ぐるぐると想いを身体中に巡らせて我慢我慢と気持ちを押し付けていたら、雅が目の前に現れて。今、彼女にあってしまったらきっと爆発すると思っていた、なのに・・・

「(どうしてこうも・・・)」

「(わかっているのに)」

「(まるで子供みたいだ)」

『神宮寺、大丈夫?』

「(君の言葉一つで)」

「(こんなにも張り裂けそうなのに)」

俯いて、雅の言葉に返事もしないで、胸を抑えつけて。もう嫌いになれたら、いいのに

『ねぇ、神宮・・・「嫌いだ」は?』

「雅なんて、嫌いだ」

だから、

『んー、知ってる』

離れて、(近くにいて)

「嫌いなんだよ」

嫌いなんだ、(好きなんだ)

『私も神宮寺、嫌い』

お願いだから、

「どっか、いってくれ・・・っ」

好きになって、(嫌いになって)

『やだー、』

俺の横にどっかりと座って無造作に頭を撫でる

『泣きそうな顔してる人ってほっとけないんだわ』


嗚呼、だから好きなんだ




▼連載から抜き取り



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