※現学パロ
外は雨が降っている、まるでバケツをひっくり返したような雨。傘を持っていない私は玄関先で、ただただ呆然と粒の落ちてくる空を見つめていた。
『(どうしようか・・・な、)』
他の生徒は私のとなりを通り抜けて、ぽんぽん、とカラフルな花を咲かせていく。ため息をふ、と吐いてこれは鞄を犠牲にして帰るしかないかと外に踏み出ようと足を出したところで後ろから声を掛けられた。振り返ればそこにはエイトくんがいた。あれ、エイトくんって委員会なんじゃ・・・、
「傘、無いのか」
『え、あ、はい。』
何故か頭の先から爪先までなめ回すように眺められて、ん、と黒い大きな傘を差し出された。私に?と自分を指差せば大きく一つ首を縦に振った。
『でもそれじゃ、エイトくんが・・・』
濡れちゃうじゃない、そういいかけたがぐっと腕を引かれて防がれた。突然のことにはっとすると、そこは外でそして傘の中。隣にはエイトくんがいて、腕を離さず掴んだまま。
「俺が送っていけば問題ない・・・」
いいだろ?
そう言って笑ったエイトくんの顔にきゅんと来て、静かに小さく頷いた。
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