『透ってまだ堀さんが好きなのー?』

諦めて私にすればいいのに、なんて口が裂けても言えなく、喉につっかえる言葉を無理矢理飲み込んだ。ごくん、飲み込めたのは唾だけ。
透が堀さんのことを想っていると知ったときは泣いた。私が泣いている理由を知らない由紀は、黙って背中をさすってくれた。



透が堀さんに告白したのはつい先々月で大分前にも思えるがつい最近の出来事。口を開けば堀さんが堀さんが、と。
振られたと目を腫らして学校に来た時は本気だったんだな、と改めて確信した。と同時に透には悪いが心の中で喜んでいた。このまま傷心中の透を慰めていけば、いつか透の興味をこちらに向けるのではないか、とかズル賢いことを考えていた。我ながら卑怯だ。先歩く影のつくような透の背中に向けて好き、と呟いた。どうやら私の言葉は届いてしまったらしく、透が驚いたように振り向いた。


堀さんなんかやめて私にすればいいのに、


今まで飲み込んでいたハズの言葉を、涙と一緒に吐き出した。








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