読書途中、真横から突き刺さる視線を送る主に目をやり、なんだと聞けば別に?と目を逸らされた。不思議に思い少しの間彼女を見つめていたらなんだか触れたくなって髪に優しく触れた。すると、今度は彼女がなに?と聞いてきたものだから、別に?と返してやった。

『・・・・・・』

「・・・だから、なんだ。なにか用なのか?」

没頭にもいったように突き刺さる視線を送る彼女。なんの意図でこんなにも見つめられているのか僕には思い当たる節がない。
今の彼女は視線で人を殺せそうなほどに直視してきている。

「そんなに見るんじゃない」

『エース本ばっか』

「は・・・?」

『愛しの恋人様が本ばっかに構っているから雅ちゃんは拗ねました』

ぷんっと口で発っしそっぽを向く雅。あぁなんだ、そう言うこと、か。
ごめん、と軽く謝ると心がこもってない。と怒られた。今度は頭を撫でながらごめん、と言えば、少し考えたあと、チューしてくれたら許すよと言われたのでそんなものお安いご用と心の中で微笑しながら雅の唇に自分の唇をぶつけてやった。




このあと皆に冷やかされたと言う。



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