「俺、おまえのこと好きだわ」

放課後の教室、たった今思いついたかのような犬飼の発言に全私が口を開け間抜け面になった。
犬飼とは、入学当時から仲が良くてこの学舎で共に成長してきた善き友であり善きライバルなのだ。(と、勝手に思っている)
ひとつ言えば、私は夜久さんみたいに肌が白く可愛いわけではない。まぁ?このほぼ男子校当然のこの学校で、私も告白されると言うのを若干期待してたりした。だけどもやっぱり私は可愛くないから告白率もかなり低い。なのに夜久さんと言えば周りに騎士がいるのにも関わらず男子が群がる。まるで月とすっぽんなのだ。勿論私はすっぽん。
ウチのクラスの奴も皆夜久さんが好きだ。あの青空までもが。だから、だーかーら、私にこんな展開が待っているとは思わなかった。しかもこの学校で一番仲がいい男子から告白なんて。
犬飼は、まぁ、はずいけどさ・・・顔はいい。頭は知らんが。ノリも良くて皆のツッコミ役で、たまに周りに紛れてアホなことやってて、でもちゃんと周りを見ていて・・・すごいやつだ。だから、何て言うか、その・・・好きかどうかって言われたら、うん。好きです。でも胸はってまで言えるぐらい好きではない、いや嫌いじゃないよ?!だからだからだから、

犬飼の告白から約十分ぐらい、百面相しなが己と葛藤していると頭の上から大袈裟なため息が聞こえてきて、あ・・・またせちゃってる、なにかしゃべらなきゃ。と口を開いたらぐいっと引っ張られて犬飼の腕のなかに収まった。私が。

『いいいい犬飼?!』

突然のことにあばばば状態な私を見て犬飼がふっと笑った。あれ、こいつこんな顔して笑うっけ、いつもは狐見たいに口角にぃっとさ、上げて・・・さ、

「お前、結構柔らかいんだな」

ぎゅっと私を抱き締めて耳元でぽそっと呟いた。息が耳にかかり、ひぁ、っと変な声が漏れたと共に肩がビクンッとはねあがった。それを見た犬飼は、味をしめた狐のようにいつもの顔で笑い、ふーっと息を耳にかけてきた

『ん・・・んんっ』

「可愛い奴、なぁ、どうなんだよ。俺のこと、どう、思ってる」

早く答えろよ、とまた耳元で囁かれたまんなく犬飼の制服をきゅっと握るとさっき以上に力を強めて抱き締めてきた

『わ、私は、犬飼が、好き・・・だけど、胸、はって言えるほど、その、好きは立派じゃない』

どもりどもりで伝えた。犬飼はただ黙って私の答えを聞いていた。なにもしゃべらず、じっと私を見つめていた。変な空気になってしまい耐えられなくちらっと犬飼を見上げたらぱちっと目が合いそれと同時に犬飼が噴き出した。

「ぷっ・・・、わーった、よし、なら宣言してやるよ」

『せ、宣言・・・?』

にぃっと笑って私のおでこを人差し指でぐいぐい押しながら言った。

「お前はまだ自分の気持ちがよくわかってない、だからぐらぐらしてる。帰ったあと、お前は俺のことが気になって気になって仕方がなくなる。」

「それで夜更かししてまで考える。この気持ちはなんだろうってな」

『へ・・・』

「考えて考えて考え抜いた結果、好きだってわかる」

「だから、お前は明日までに必ず俺が好きになってる」

宣言する。と笑って私の頬に軽くキスして犬飼は帰っていった。





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