今のところ、彼を生徒としか見ていない。幾ら彼がアタックしてこようが何しようが彼は私の生徒。【生徒】と【先生】と言う縛られた関係を私は破る気は更々ないのだから。

「先生・・・、」

『んー?なに』

「俺のこと、どう思いますか」

『生徒』

またこの質問。毎日のように投げ掛けられる質問はもう飽き飽き。なんど同じ質問をされようが私の答えは変わらず、君を生徒としか見ないんだよ。

「そうじゃなくて、」

『はいはいわかったから』


軽く流すとムスッとした顔の静雄君が後ろから抱き締めてきた。

『静雄君・・・離して?』

「いや、です」

今日はいつもと違う気がする。いつもなら離せと言えば拗ねながらも渋々離してくれるはずなのに、今日は離すことを拒否し更に力を込めて抱き締めてくるのだ。

『っ・・・』

静雄君が教卓に腰掛け、私の首筋に顔を埋める。すーはーっとにおいを嗅がれ、スリスリと頬擦りされた。瞬間、雅。と呼ばれ肩がアバウトに揺れた

「好きです」

『し、静雄く・・・』

「先生・・・」

嗚呼、なんだこの気持ち。明らかに私達は今、禁句を犯す真っ最中であるのに。なのに、今は、私が知っている私の生徒、平和島静雄ではない。男、だ。男の平和島静雄・・・。途端に顔に熱が集中して集まる。それに気づいた静雄君が、雅かわいい、と頬にキスを落とされた。

「男として、俺を見ろよ」

『せ、先生にそんな口、聞いちゃいけませ・・・んっ』

「っせ」

ぐいっと顎を指で上にあげられたかと思えば見えるは静雄君の顔。ちゅうっと唇を吸われるようにキスをされ、軽くリップ音を残して体もろとも離された

「返事は、今度でいいですよ」

『なに、が』

「告白」

自分の机から鞄を取り、帰ろうとする静雄君。意地悪く口角を上げて笑った。
それじゃ、と教室を後にする彼を引き留めることなどできるほど気力は残っていなく、ただただぽかんとしていただけだった






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