部屋で一人、両手を握りしめた。爪が食い込むぐらい強く、ぐっと。柔らかい自分の掌にゆっくりと爪が沈んでいく。じわじわくる痛み、ぷつぷつと沸き上がっては腕を伝ってシーツに斑点模様をつくる赤い血液。ゆっくり手を開けば小さく奇妙な音を爪が掌から抜けていく。瞬間、ぷつぷつ沸き上がっていた血液がドロドロと流れ出した。シーツは次第に赤い水溜まりを作った。
「雅」
『反ノ塚・・・』
「どうしたんだよ、それ」
エントランスでは会わなかった反ノ塚が学校で私を見つけるないなや質問をぶっかけてきた。因に反ノ塚の言う”それ”とは私の両手の包帯を示している。
『別に?アンタには関係ないから』
背に両手を隠し、反ノ塚を睨み上げる。反ノ塚は方眉をピクリと上げ、そう、ならいいけど。と手をひらひら振って自分の教室へと歩いていった。
昼休み、凛々蝶と渡狸とカルタが不思議そうに此方を見ていた。凛々蝶と目が合えば、つかつかとこちらに歩いてきて、深い訳は聞かないが保健室にいった方がいい。と遠回しに悪態をつきながらいってきた。別に大丈夫だ、といったがカルタに血が出てるからと言われ両手を見たら包帯が血で滲んでいた。
「だいじょうぶ・・・?」
保健室に連れてこられ、カルタが器用に手当をしてくれた。
『うん、ありがとうカルタ』
真新しい包帯を巻かれた手でカルタの頭を撫でたらぱっと手を取られて、焼きそばパン・・・食べにいく。と購買に引きずられていった。
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