はつらい | ナノ






逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ。あのかの有名な某新世紀アニメの台詞を胸のなかで必死に唱える。視界に広がるのは黒、胸には不動峰という白い文字。怖くて足がすくむ。やばいなぁ、なんて考えていたら、伊武!と体格のいい恐らく部長であろう人が深司を呼んだ。はい、と短く返事をして待ってて、と小走りで部長であろう人のところに行った。フェンス前に残されたのは私とかみおくん。
さっきから視線で攻撃してくるかみおくんはなぁなぁ、と私に声を掛けてきた。出来ることなら無視したいがそれは無理に近い。なぜなら今、かみおくんが私の顔を覗き込み目があったからだ。
小さな声で、なんですか、と答えた。あまりにも消えそうな声だったので本人に聞こえているかなんてわからないけどそんなの知らない。返事をした私に対して目を見開き、お!と吃驚した顔をした。

「無視されたかと思ったぜ!なぁ、アンタ名前は?学校どこ?何歳?深司とはどういう関係?!」
「ぇ・・・ぁ、」

思いもよらぬ質問攻めに合い、頑張って答えようとするけど上手く言葉と声が出なかった。身体中からだらだらと変な汗が滝のように流れてくる。やばい、そう思ったのも束の間で後ろにぐいっと引き寄せられた。

「神尾、初対面のやつに失礼でしょ、常識がなってないよな。これだから神尾は・・・・・・。それに、コレにききたいことがあるなら俺に聞いて。」
「あ、深司!うー、悪かった。でもさぁでもさぁ、俺はこの子に聞いてるんだぜ?この子が答えなきゃ意味ないだろ!」
「うるさいなぁ、さっきの質問だけど、この子は名字名前。学校はここで二年生。俺とは幼馴染みで因みにクラスは2-3」
「し・・・「お、おう。ん?2の3?あれ、同じクラス?え?は?こんなかわいい子、俺のクラスにいないぞ」・・・んじ」
「なに、」
「帰りたい」
「だめ、とりあえず皆に挨拶。無理そうだったら手伝ってやるから。ほら」
「やーだー!」
「駄々こねない。」

必死に考えているかみおくんを無視して私の首根っこを掴みそのままずるずるとフェンスの中に入っていた。








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