はつらい | ナノ






「だから、お前の極度の人見知り兼引きこもりから脱する為にテニス部にいくんだよ。わかった?」
「意味がわからないと言うことがわかりました深司さん」

炎天下の中手を繋ぎ見つめ合う美男美女・・・訂正、美男不女。目の前の美男は軽く舌打ちをしてからぼそぼそとぼやき始めた。せっかく人がアンタのためを思ってやってるのにさぁ人の行為を踏みにじって楽しいのかなぁ・・・・・・うぐぅ。
それから満足したのかはぁ、と息を吐いてまたまた足を進めた。私行かない!といっても拒否権なんかないから、とかわされた。むぅ、と頬を膨らませていると一応私が在学していることになっている不動峰中学校の校門が見えてきた。校門の前には人影、おーい!深司ー!と手をブンブン振っている・・・やだ、人だ(今更だけど)
リズムに乗るぜ!とか聞こえて校門から私達のところまでのそう遠くない距離を全力で駆けてきた。(第一印象、リズムな人)
鬼太郎みたいな頭、鬼太郎ヘアーの彼は白い歯を見せて深司に遅かったな!と笑った。その反面美男こと伊武様は神尾、うざい。といい放った。かみお、くん?はガァーン!とオーバーリアクションをとって泣き真似をした。そんな彼を無視して深司が校門へと足を進める。テニス部に行くのには抵抗がある。嫌だけど嫌じゃない。最近やっと現実を見始めてきた私はよく考えていた。このまま外に出なかったら私はどうなるんだろう、深司から見放されるのかな、親にも見放されるのかな。なにも知らない、なにもできないダメ人間に育つんじゃなかろうか。それだけは避けたい。でも自分から外に出て、深司や家族以外の人間とふれあうのが怖かった。私一人じゃ絶対にできなかったこと、深司が私を外の世界に再び連れ出してくれたからできること。だから、これはいいチャンスなのかもしれない。怖いけどでも、覚悟を決めなきゃ。部屋に閉じ籠っていたばかりじゃ始まらないから。
だんだんと近づいてくる校門を目の前に無意識に深司の手をぎゅっと握ると深司も握り返してきてくれて、小さくぼそっと、聞こえた。

「大丈夫、」





▼神尾が空気






<<>>