はつらい | ナノ






あの人嫌いの名前が石田に話しかけていた。しかも、自分から。ある種普通の光景だが、俺以外と話さない名前が他人と話をしているのは俺から見て異様に見えた。少し胸がもやついたがそんなのは無視をして神尾との練習に励む。けして楽しそうではないが名前が他人と話せるようになるのは俺も安心できるし独立した人生を送る第一歩なのだから。たった二日で他人に話しかけられる程のスキルはいったいどこで入手したのか。いや、石田だから話しかけられたのかもしれない。アイツは見た目と反して雰囲気がふんわりしているから、名前はその雰囲気に飲まれたのかもしれない。

「俺もだいぶ楽になるのか・・・」

離れて独立して他人と関わり、名前が友人と言う存在を知ってほしくてテニス部に連れてきた。なのに何故、成長していく名前を見ていたら不安になるのか、それは、わからなかった。









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