裸足で外に出た。少し熱がこもる体を無理に動かして、冷たい砂浜に足跡をつけては波に浚われて消えた。きっと今は無表情なんだろうな。頬には冷たい何かが伝って、乾いている砂を濡らして斑点をつくる。心がモヤモヤしてじっとしていられなかった。油断をすれば死んでいたかも、なんて少し大袈裟に考えながら海へと足を進め、腰辺りまで浸かる。別に死ぬつもりではないから進む足を止めた。
「名前ー・・・っ!」
後ろから聞こえるよく知った声がして、振り返る。顔を青くした涼太がザブザブと海に入ってくる。勢いよく抱きつかれて体がよろけるが、抱き止めてくれた。
「なにしてんスか・・・っ!」
「りょ、た・・・、?」
ぐっと私を抱き締める腕に力が混もって首筋に顔を埋められた。部屋にいないから探しに来てみれば・・・、と小さく呟いて、よかった無事で、と息を吐いた。
「あまり心配させないで、」
「ごめん、なさい」
深海色のアイロニ
(心臓がいくつあっても足りやしない、)
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