「見てー!」

眩しい光を浴びながら名前が元気に何かを抱えて走ってきた。俺を含めたその他部員は潮干狩りをしていた手を止めて皆で名前のところに向かう。名前が持っていたのはプラスチック製の赤いボウル。中には艶やかな黄色い粒たちが入っていた。

「とうきび!」

バッ!と前に差し出して食べよう!と笑った。

「とうもろ・・・?え?とうもろこしじゃないの」
「んぇ?あ、う、うん。とうもろこし!です!」

またやっちゃった、と言わんばかりに顔を赤く染めて頬を掻いた。名前は北海道出身でたまに訛りが出てきちゃう、とぼやいていた。周りと違うことが恥ずかしいから、と言って北海道弁はあまり使わないけど、俺的には使ってほしいなぁ、なんて思ってる。だってなんか可愛いし。

「恥ずかしがってる名前ちゃんかわいー!」
「な、剣太郎!私はめんこくない!あーもーなまら恥ずかしいわぁっ・・・、うー、とうきびのシンはここに投げて。後でとりにくるから!」
「え?う、あ、うん。」

顔を押さえてパタパタと海へ向かう名前を見送り剣太郎に視線を戻すとぽかん、と口を開けていた。

「サエさん、名前ちゃん何て言ったの」
「ん?あぁ、『な、剣太郎!私は可愛くない!あーもーすごい恥ずかしいわぁっ・・・。うー、とうもろこしのシンはここに捨てて!後でとりにくるから!』って」
「別に声真似しなくてもいいよ」

あ、遠くからしゃっこい!って名前が叫んでる。


等々せよ




とうきび→とうもろこし
なまら→すごい
めんこい→可愛い
投げる→捨てる
しゃっこい→冷たい


あるぇ・・・





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