「階根歩です、理一さんとは「半年前ぐらいから付き合ってるんだ」えー・・・」

親戚の方々を目の前にして挨拶をしようとしたらなんか半分台詞をとられた。なんでとったの、という顔を向ければごめんごめん、と頭を撫でられた。可愛いから許す。それからは親戚の方々を紹介してもらったのだが・・・えーっと?理一さんのお母様の万理子さん、お姉様の理香さん・・・あれ、あれ、

「全員覚えられなくても仕方ないよ、ほら、健二くんも覚えられなかったし」

そらそうだわ、部外の人間がいきなり来て覚えられる人数じゃない。ゆっくり覚えればいいよ、という理一さんの言葉に頷き出された料理を頂く。
あまりにもおいしくて、素直に感想をのべたところ、そう?喜んでもらえてよかったわぁ、と万理子さんが嬉しそうに微笑んで理一さんにいいお嫁さん見つけてきたわね、なんて小突いていた。ぶっ、とビールを吹き出し、理一さんが背中をさすってくれる。

「大丈夫?」
「およ、めさんだなんてそんなっ!」
「あら、違うの?」
「いや?」
「え、そ、ん?」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です、」

お嫁さん、だなんて恐れ多い。私なんてまだ半年しか一緒にいなくて理一さんの全てを知っている訳じゃないし、ましてや理一さんなんて大人の男っていうオーラをまとっているもんだから、勿論私以外にも理一さんを狙っている人はいた。だから、私と理一さんが結婚、だなんてことは・・・、今一緒に居られることが一番の幸せなのにそれ以上を望んじゃいけない気がして、一人でそんなことを考えていたら勝手に暗くなってきて俯いていれば、理一さんがすかさずどうしたの?と顔を覗いてきた。

「歩?って、なに泣いて・・・」
「泣いて、なんか・・・」

ぐすぐすと鼻を鳴らせば、理一さんが優しく優しく抱き締めてくれた。






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