時は早かれ、7月26日。私は初めて長野に来て、そして上田に来た。バス停からずっと手を繋いで陣内家まで歩く。私の小幅に合わせて歩いてくれる理一さんは、やっぱり優しい。本当はバイクでもよかったんだけどね、と笑いぎゅっと握る手に力を込めた。 「・・・なに、これ、」 「ん?家かな」 「嘘だ・・・玄関ないよ・・・」 「あるよ。ほら、あそこ」 「と、遠い・・・!!」 陣内家はすごいお家なんだな、と改めて実感。前々からちらほらと理一さんからお家のことは耳にしていたがまさかここまでとは。ぽかん、と口を開けているとキスされた。どういうこっちゃ。理一さんの突発的行動にも慣れてきた今日この頃。何事もなかったなかったかのように私の手を引いて玄関へと向かった。 「ただいまー」 「あ、理一おかえ・・・り・・・」 「こ、こんにちは」 「・・・お母さぁぁぁぁん!理一がぁぁぁぁぁ!」 女つれてきたぁぁぁぁ! 挨拶をした女性はバタバタと家の中に入っていきそっからざわざわといろんな人の声が聞こえてきた。 「今の、俺の姉ちゃん」 「さ、さいですか・・・」 とりあえず入ろうか、と私の持ってる荷物を手に取りエスコートしてくれた。 [prev|next] |