気づいたら好きになっていて、どうにもこうにもこの気持ちは捨てられそうになかった。思い立ったら即行動。私の悪い癖だ。理一さんが好きだと気づきはじめてからはまず手始めにこれってないほどにアプローチをした。無駄にボディータッチをしたり、飲みに誘ったり。しまいには彼氏が欲しいだとかなんだとか。周りの同僚からは、アンタは子供っぽいから陣内さんなんて見てもくれないでしょ、なんて笑われたけどそんなことないやい!私はこの子供っぽさを有効に活用してどったらこったらエトセトラ。十五分は語った。もういいよと言う同僚の一言で渋々理一さんへの想いと子供っぽさの有効活用についての語りは幕を閉じた、と同時に理一さんが壁からひょっこりと顔を出してちょいちょいと私を手招きしているではありませんか。いや、本当に私なのか?と半信半疑で自分を指差し首を捻ればうんうんと頷かれた。同僚から、ほらさっさと行け!理一厨!とおっぱわれた。

「なんでしょう理一様」
「(様・・・?)いや、ちょっと手伝って欲しいことがあって」
「どっこいきたこれ。なんでもしますよー」
「ふは、ありがとう、助かるよ」

くしゃくしゃと頭を撫でて褒めてくれる。やばい、好きだ。この骨張った男って感じの手が。抱きつきたいなー、なんて考えて理一さんを見つめていたらばっちり目が合って苦笑された。そんなに見られたら俺溶けちゃうなぁ、と頬を掻く。溶けちゃうなぁて、溶けちゃうなぁて!可愛い。可愛いなにこの42歳!

「・・・!そうだ、」

まるでなにかを思い付いた子供みたいにぱぁっと表情が明るくなる。なんでせう、ときゅんきゅんしながら見つめれば、

「早く終わったら、飲みに行こう」

マッハ20で終わらせます。



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