「歩さん!」 襖からひょこっと顔を出したのは夏希ちゃんだった。夏希ちゃんとは年が近・・・い?ということもありすぐに仲良くなり、今もこうして私(訂正、私と理一さん)の部屋に遊びに来ては花札を教えてもらっている。 「な、夏希ちゃん強いなぁ・・・あ、こいこい「 「陣内家は代々栄おばあちゃんに鍛えられてきたからね。こいこい」 「へぇ・・・あ、ということは理一さんも強いんだ」 「そりゃぁねー、はい。私の勝ち」 「あ!あーうー・・・」 また負けたー、と畳に寝そべる。今のところ0勝10敗、一回も勝てた試しがない。 「歩は弱いね」 喉を鳴らしてクツクツと笑い声、この声はよく、知っている 「りーちさぁん・・・」 廊下側で仰向けになっている私の上に影を作った理一さん。足をがちっとつかんで花札教えてくださいよー、と駄々をこねてみる。子供みたいに。 「歩、子供臭い」 「チャイルド臭ですねわかります。」 ふっと笑って理一さんは俺が助っ人に入るからもう一度やろうか、と夏希ちゃんに向かって言えば夏希ちゃんは、おじさん入ったら勝てるわけないー!と嘆いていた [prev|next] |