07 
8/11


「泊まってってよ、」

夏樹にマンションまで送ってもらった。さっきまでまるで子供みたいに泣きじゃくってた私を夏樹はあやすように抱き締めてくれた。
服の袖をつかんで夏樹をひき止めた。マンションの私の部屋の前。少し驚いた顔の夏樹に泊まってと告げれば更に驚いた顔をした。私が泊まってと言うのがよっぽど珍しかったらしい。いつもは夏樹が言うものね。別にそのつもりだった、と目をそらして頭を掻く。ありがとうと笑えば今度は顔ごとそらされた。




開けっ放しで出ていった窓から夜風が入っていて部屋のなかは寒いぐらいだった。窓を閉めて電気をつける。散らばった服が足場をなくしていた。

「ごめん、部屋汚かった」

えへ、と笑えば下着ぐらい仕舞えと怒られた。
冷蔵庫からミネラルウォーターを2つ取り出して未開封のものを夏樹に投げて渡した。

「さんきゅ、」
「いいえ、あ、変なことしないでね」

今日は。
ミネラルウォーターに口をつけてちらっとこっちを見て、さぁどうだろうな。なんてにやにや笑うもんだから空になったペットボトルを投げつけてやった。





 prev next back 

8/11






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -