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※少し訛った感じで読むと分かりやすいかも
兄ちゃんが栞に絡んでるのを見て苦笑しているとさくらがドンッとウチに抱きついてきた。不満そうな顔をしたさくらが小さな声で何かを呟いた。
「さくら、あの人キライ」
ざわざわと賑やかな声のなかではっきりと聞こえた。なんして?って頭を優しく撫でて尋ねたらもっともっと顔を歪めて
「だって、お兄ちゃんのこととっちゃう。さくらのお兄ちゃんなのに、あの人、さくらのお兄ちゃんとっちゃってく、から」
ぐすっと鼻を鳴らして鳴き始める。ああっ、泣かんといてよ、さくら。
ウチが慌てて慰めとると兄ちゃんがすかさずウチを指差して、
「あーっ!ココ!さくら泣かしてるー!」
「な!違うとー!変なこと言わんで兄ちゃん!」
叫びよった。皆の目線が此方に向く。さくらがウチから離れて夏樹に抱きついた。ウチが泣かしたんやないで、って身ぶり手振り夏樹に伝えたら、苦笑された。さくらと夏樹の周りに人だかりができる。兄ちゃんが、僕もいくーっ!と人だかりに混ざっていった。あーあ、なんて見つめとったら、ポツンと一人だれかおった。栞や。
一人、悲しそうな目で、見つめとった。
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