風邪を引いたら | ナノ
体を拭かせる

汗の粒が浮かぶ白く滑らかな肌、細く括れた腰、前に分けられた長めの黒い髪の毛。そして僕の手には濡れたタオル。お粥を食べ終わった後、じゃぁ体拭くよ、といったらお願いします。と言われ、は・・・?となった。
男同士、もしくは女同士でもない限り異性に体を拭くことは頼まないと思う。(まぁ女が男をならわからなくもない)だってそうだろう?普通の女子なら恥ずかしくて、い、いい!自分でやるっ!と言って部屋から追い出すはずだ。なのになまえは、あ、やってくれるの?じゃぁよろしく。といった感じでとても軽く僕に背中を預けてきた。

「前は自分でやってよね」
「わかってるって・・・・・・・・・、ん、冷たい・・・」

気持ちー、と上を向いて息を吐いた。ひとつ間違えれば前が見えそうな角度。いや、見たい訳じゃないけど、ってだからといい見たくないわけでもない。まぁ、・・・ね。ゆっくりと背中を拭き終わり、終わったよと声をかけるとぐるっと体ごとこっちを向いた。

「・・・っ?!」

思わず目を見開いた。なまえの体をこんなにもまじまじと見るのはいつぶりか。緩く揺れる胸、長く細い腕が僕の首に絡みついてきてベッドに倒れる。なんとなくなまえから目が離せなくなって見つめあっていたら藍、と名前を呼ばれて我に返る。

「治ったらちゅーしてね、」

この部屋で。
まだ熱をもつ体と赤く染まった頬に、僕の理性は崩れに崩れた。



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