風邪を引いたら | ナノ
世話をする
「どうして僕が・・・」
カチャカチャと食器を片付けつつ呟いた。油がついていて滑って落としそうになる。奥の部屋からは唸る声、夢にでもうなされているのだろうか。とりあえず早くこれを片付けて彼女のもとへ行かなければ。
とある人の頼みで風邪を引いたなまえを見ることになった。世話をしている間は仕事を減らしておくから、ときらびやかな笑顔でいわれたから断れなかった。まぁ最近少し休みたいと思っていたからちょうどいいかもしれない。
あのうるさい後輩たちの面倒もどうやらカミュや嶺二辺りが見てくれるみたいだし、
「藍・・・?」
食器を洗い終わってシンクにもたれ掛かっていたらどうやら目を覚ましたなまえがキッチンへやって来た。
少しだぼついた兎耳のついたパーカーを着てぺたぺたと僕に近づいては抱きついてきた。
「・・・なまえ?」
ほんのり染まった頬と熱をもった細い体が僕の腰に巻き付いてきて、潤んだ目で見上げて、忙しいのにごめんね、と僕の胸に顔を埋めて甘えるように擦り寄った。
また、寝室につれていって寝かせなきゃ