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『ご指名ありがとうございます。純です』
「あら、いい声」
「やっと来ましたカーMiss.クスノキ。待ちくたびれマシタ、待ちくたびれてくたばるところデシタ」
『くたばればよかったと思います。じゃあ失礼します。』
アデューっと星を飛ばして帰ろうとすると、待て待て、と日向先生に首根っこを捕まれた。ぷらん、とぶら下がる私を見て吹き出す。うわきったね。
「てめー、犯すぞ。」
『仮にも、かーりーにーも、教師が生徒に犯すなんて言葉は使っちゃいけないと思いまーす。』
「そうよ、龍也、犯すならアタシが・・・」
『キャーリンゴセンセイハレンチー』
なんだか林檎先生の目が本気だった。ミーを無視とはいい度胸デスネー、と後ろからどす黒いオーラが漏れてきたのでおふざけはこの辺で御開きになり、正装を少し直して早乙女先生と向かい合う。じっと早乙女先生が私を見つめる。いったいなんの話ですか、とアイコンタクトを送ると何かが帰ってきた。受信は出来なかったけど。
「実はな、少しお前に提案があってだな」
『はぁ、』
いつものおちゃらけたしゃべり方と違い、淡々と話す先生に一瞬ドキッとしたが、すぐに冷静になる。呼び出された理由はなんとなくわかっていた。
「お前―・・・アイドルコースに移らないか」
真剣な眼差しで先生方は見つめてくる。嗚呼、私のことを考えてくれたんだな。嬉しい、すごく嬉しいけど、
『すいません、お断りします。』
深々と頭を下げて断った。
「・・・・・・まぁ、あくまで提案だからな。」
『はい、』
「だが、お前は顔もいい。ましてや歌の技術や感情の込めかた、全てがプロ顔負けだ・・・、少し考えてほしい。」
『すいません、それも、出来ません。』
「・・・何?」
「純ちゃんっ・・・シャイニーの逆鱗に触れてはダメよ!少し、考えてくれないかしら、」
不安そうな目で私を見る林檎先生と日向先生。二人を見てから、すいません、と再び頭を下げた。
『私がアイドルコースに移れば翔のパートナーがいなくなります。それに、私の夢は私の作った曲で翔が歌ってデビューすることです。もちろん、歌を歌うのは好きです。お誘いは嬉しいですが・・・考える気もありません。本当に、すいません』
真っ直ぐと早乙女先生を見つめて自分の意思を伝える。暫し見つめあったあと、そうか、と残念そうなため息を溢した。
「意思は固いんだな、ならばしょうがない。諦めよう」
ふっと笑ってもう戻っていいデース、と園長室を追い出された。
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