『ひっ・・・ふ、ぅ・・・』
溢れでる涙を抑えようと必死に手で拭う。肩を揺らしてその場にしゃがみこむ。僕も同じように正面にしゃがむ。
「馬鹿な男もいるもんですね、」
『あ、ずさ・・・く、っ』
僕の存在に気づいた先輩が僕の制服の裾を軽くきゅっと握った。いまだに溢れる涙を今度は僕の指が拭う。
「こんな風に泣く女の子をフるなんて」
『っ・・・』
優しく抱き締めれば遠慮がちに背中へと細い腕が回ってきて、胸へと顔を押し付けられた。梓くん、梓くん、と悲しい声で僕の名前を呼んで、ぎゅっと、もう離さないというように腕に力が籠った。
僕の胸に埋めている先輩顔を両手で少しあげる。まだ涙のこぼれている顔がそこにあった。
それがとても愛しくて、泣いている君の唇に××をした
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