「ごめん、本当に好き」
伝えてはいけない気持ちだとわかっていたはずなのに、抑えきれなかった。柚子ちゃんは林さんの、彼女、なのに。誰にでも優しい彼女が大好きで大好きで、でも林さんのだからって我慢してきて、目が会うたび口から好きが何度も飛び出そうになった。あぁ、泣いてる。ごめん、俺が余計なこといったから、本当はここで抱き締めてしまいたい。俺のものにしたいのにそれは叶わないから、
わかってる、わかってるんだ、師匠にも相談した。諦めなきゃ駄目なのに何度も相談して、師匠は親身になって聞いてくれて、鳥山くんは偉いね、って自分のことのように泣きそうな顔で撫でてくれた。その度笑ってごまかして、
好きなんだ、俺は、彼女が、柚子ちゃんが、
林さんの彼女なのは百も承知で、俺が林さんから奪えるわけがないけどでも、
『鳥山、くん』
覚悟して、そういって泣いている君の鼻先に××をした。
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