瞬間的に聴覚で察知したのはちゅう、というリップ音だった。目の前には奉太郎の顔が広がる。あ、こいつよくよく見たらイケメンじゃね。今起きた事件に必死に頭で追い付こうとする。だが、まったく追い付かない、やばい。すると途端にまたちゅう、ふにふにとした柔らかいくて少し乾燥気味の薄い唇、それが自分の唇に当たる。う、わ。
何故だか気持ち悪いとは思えなかった。寧ろ心地いい。かっぴらいていた目をゆっくり閉じて唇の感触だけに意識を集中させた。徐々に顔が赤に染まっていくのが自分でもわかった。気持ちいい、もっと、もっと、

『ほ、たろ、・・・もっと、』

・・・え、
はっとした。なにいっているんだ俺は。ほら見ろ、奉太郎がキョトンってしてるじゃないか!うわぁ、なにいってんだ、本当に。

「お前、」

『い、今のは忘れろください・・・』

「日本語をしゃべれ。」

なにおう、れっきとしたにほんごだどや。

ぐいぐいと奉太郎の肩を押す。くそ、離れない。
するっと奉太郎の手が腰に伸びてきて骨盤辺りをなぞる。
ひぅっ、と変な声が出た。口角を少しあげる奉太郎。こ、こいつ、俺が骨盤弱いと知ってて・・・っ
首筋を舐められる。つつっと舌先で遊ぶ。やめてくれ、と伝えても嫌だとしか帰ってこなかった。

『も、やめ・・・っん』

「諦めろ・・・」


素直になれば楽になる






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