部室で一人、天井を見上げる。誰も来ない、俺一人、孤独。いや、違うか。一人は楽だ、気を使わなくていい。へらへらしなくていい。でも人間は一人じゃぁ生きられないから必然的に誰かと一緒に生きなければならない。実に面倒な話。それに、一人でいれば文句を言われるしな。ああ、でも、孤独は嫌かもしれない。矛盾だ。いろんな意味での孤独を味わった俺にしかわからないだろうなぁ、なんて


窓から吹き抜けるのはぬるい梅雨の風。廊下からの足跡。運動部の声。なんか、胸が苦しい。理解されなくていいさ、きっと誰にも、

『わかんない』

「なにがだ」

はっと、自分は何を考えていたのかわからなくなった。特にやることも無かったために過去に浸ってしまっていたのか。気力を消費したな。

『奉太郎、』

「なんだ」

がたっと俺の隣に座る。いつもは向かいに座るのに、
俺の顔を黙って見つめてくる奉太郎は、なぁ、と一声かけてきた。

『んー?』

「なんで、泣いているんだ」

『え?』

自分の頬に触れると微かに濡れていた。どうやら無意識のうちに泣いていたみたいだ。

『泣いてなんかないさ、心の汗が目に滲み出てきただけで』

「はいはい、」

くしゃくしゃと頭を撫でられてまた、じわぁっと涙が浮かんできた。やばい、泣きそうだ

「心の汗が目に滲み出てるぞ」

『うるせー』

精一杯隠そうと、涙で濡れた顔で奉太郎に笑った。




▽一応終わり←


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