ループ[loop] 

 ラウンジの丸い窓の外、吸い込まれそうに真っ黒い空からひらひらと、白いカケラが降っている。
甲板に、海面に、舞落ちた途端に消えてしまう雪は、まるでおれ達の間柄みたいだ、とサンジは思った。
 全員が夢を叶えたその先に、まだおれ達は同じ船に居るんだろうか。
誰か、今だけでも言葉だけでも、永遠が有ると信じさせてくれれば良いのに。
 だけど、多分、そんなものは存在しないのだろう。
何かが満たされれば、何かが物足りなくなる。
いつでも、いつまでも何処かが飢えて仕方がない。
「足りねェよ、何もかも」
 吐き出した煙は、薄く、どこまでも薄まって、全ての空気に溶けた。

20060103


*前 次#
戻る
[0]TOP

第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -