かぐや姫くん6

「あははは・・・月に帰るって?帰すわけないでしょ!!」
そういって、おもむろにカカシが取り出したのは、何かの呪符。
「これは結界符。これはっとけば、誰も近寄れない」
そういって、カカシは家の柱の随所に張り出した。
「俺ってば・・・俺ってば付きの国で狐に憑かれて悪い事いっぱいしたんだってば・・・だから、罰としてこうして人間界に落とされちゃったんだってばよ・・・でも、年頃になったら戻らなきゃいけないって言われたのを、最近おもいだしたんだってば・・・」
そういって、ナルトが泣きだした。
「・・・ナルト。それはいつなの?」
そっと寄り添って綱手がその豊満な胸元に抱き寄せる。
「・・・満月の日に、道が開くってば・・・」
そういって、その胸に顔を埋めて泣き出したナルト。周囲はなんとも難しい顔をして、そっと月を見上げる・・・。間近にせまった月は、その一片をほんの僅かにかけさせて、もうすぐ己が満ちることを教えている。
「・・・明日・・・じゃな。」
つぶやいた自来也に、周囲は無言の肯定とともに、にわかに眉を寄せる。
「アスマ・・・出来るかぎりの人を集めて、ついでに使える術全部使ってなんとしても俺の御嫁さんの里がえりを阻止して!!」
そういって、アスマに命令を下せば、アスマは怪しげな印を組むと、その場から『ドロン』とばかりに消えてしまった。
「お嫁さんなんて・・・照れるってば・・・」
場違いな事で顔を赤くしているナルトに、カカシは詰めよる。
「里帰りを阻止したら、俺の御嫁さんになってくれるでしょ?」
ちょっと強引なその態度と、不安げに揺れる瞳にナルトは胸がキュンとなる感覚を覚える・・・
「・・・・・・・・・いいってばよ?でも、月の国は半端じゃなく強いってば・・・きっとカカシもやられちゃうってば・・・」
不安にまつ毛を揺らすナルトを抱きしめる。
「大丈夫。きっと俺の御嫁さんにして見せるから。今は美容のためにも少し御休み。また明日会いに来るね?」
そういって、カカシはそっとナルトの背中を優しく叩き、泣きつかれているであろうナルトは、そのまま眠りについた。


翌日
「おいカカシ。配備できる者はすべて配備した。配置できるモノも・・・」
ナルトの家はものものしい空気に包まれていた。母屋の中心に綱手と自来也とカカシ。その真ん中に隠れるようにナルトがいる。
「さぁ、ナルト〜。明日からは俺の家だから、今日はゆっくりしててねぇ?」
そんな悠長なことを入っているカカシの顔にはうっすらと緊張の色が見え、夕暮れ時になってくれば、あたりにいる者達は誰も口をひらかなくなった・・・
未知への恐怖は刻々とせまっていた・・・


『シャンシャンシャン・・・』
どこからともなく響く、不思議な音色。
「・・・来たってば」
小さくつぶやくナルト。その声に反応して、さっとアスマとカカシが術をかけてあたりを包む。
「結界も少しはやくに立ってくれるといいけど・・・」
そういって、カカシはナルトの横に立つ。
次いで、アスマがカカシのまえに立って、一点を見つめる。
「きた」
一言告げたのち、アスマが独特の形をした剣に手をかける。
一拍の後、結界はいとも簡単に破られた。あたりに緊張が駆け抜ける・・・


「ナルくぅぅぅぅぅん!!!パパだよぉ!?迎えにきちゃった!!」
金髪碧眼の空気読めないよくわからない野郎が、とてつもないテンションでやぶられた結界から顔を出す。
「・・・へ!?」
もういっていしまえば、バカ丸出しのその男は、ズカズカとナルトほうへ歩み寄る。
中間にいるアスマやカカシなんて見えていないとでもいうように、ナルトだけを見て進む。
「・・・クソ」
愛用のキセルを咥えたままの口をゆがませて、剣を振りかざすアスマに、その男は眼光鋭く睨む
「そういう物騒なのはしまっといて!!」
まるで、閃光のような俊敏な動きでアスマをぶっ飛ばすと、その足取りをかえることなくナルトの元に歩みよる。
「無粋な邪魔がはいっちゃったよぉ!!そもそもこんな危険な場所に落とすなんて、上の連中もナニ考えてんだか・・・ナル君はなんにも悪くなかったのにね!!たっぷり叱っといたから、もう戻っておいで?むしろ、僕が今その上の人になったから、誰もナル君をいじめないよ?安心安全な場所に造りかえといた」
颯爽とマシンガントークで歩きつつ近寄る男は、ついにカカシと対面する。
「ナニコノオトコ・・・ナル君に触んないで!!」
「・・・あなたこそ誰ですか?」
睨みあいの中に会話が生まれる
「僕はミナト。ナル君のパパで、月の国のえらい人。なるくんを迎えに来たから、そこどいて?」
「ハジメマシテ・・・オトウサン。この国のえらい人のカカシです。ナルトの旦那さんです。とっとと帰ってください。」
「はぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ミナトの叫びが響く。
「うるさいですオトウサン。帰って下さい」
「な・・・な・・・ナル君の旦那!?
確かにナル君は世界で一番かわいいし、ちょっとおバカな所も世界で一番愛らしいけど、なんで・・・なんで旦那さんとか・・・旦那とか・・・!!!!」
もう悲鳴である。
叫ぶミナトは視線を向けたナルトは・・・
「照れるってばよォ」
なんて、場違いなコメントをしてテレテレしている。
「・・・コロス!!」
そういって、爆発のように殺気が一気にこの場に充満し、ミナトはカカシに襲いかかる!


   つづく




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