かぐや姫くん3

「おい!!しってるか?国はずれの狭村の家にドえらい美人がいるらしいぞ」
「え〜・・・お前の美人はあてになんないんだもん。この前の美人は気が強そうな子だったじゃん。黒い長い髪は良かったけど、ケバいし、目はグルグルしてるし、なにより、あの悩殺ボインの出し方は気が強い証拠だ・・・」
「おい・・・それはもしかして、俺の恋人の事か?」
「フ・・・熊もわかるようになったじゃない。」
ひげもじゃでいつもキセルを口にしている熊のような男がそれはそれはきれいな、でも片目の扇で隠した不思議な男に話かけていた。
ふたりともそれはみごとな着物を着て、それはそれは格式高そうな場所で話しているにも関わらず、まったくもって品がない・・・
「おいカカシよぉ・・・ちょっと見にいかねぇか?」
興味深々と言ったように、熊のような男が身を乗り出している
「あのねぇアスマさん・・・俺はいちおう天皇なの。一番偉いの。そんなすぐすぐこっからでられるかっての・・・」
アスマと呼ばれた熊が、ニヤリと笑う・・・
「なんのための俺が陰陽術を教えたとおもってるんだ・・・」
「すくなくともこんなことするためじゃないデショ・・・」
カカシと呼ばれた男は、そっと溜息をつきつつ、懐から取り出した紙に息を吹く。そうすることで、紙がまるで生きているかのように浮き上がり、人の形を成す。
同様にして、アスマもかわりを出す。
「俺の代わりにここで座ってて。誰か来たら、適当に相手しといて?」
そういって、二人の男たちはさっさとその場を後にした。


やってきたのは、ナルト達の暮らす小さな隠れ里。ほとんど竹しかない林に囲まれた、貧乏だけど平和でのどかな村・・・
「ここのどこにドエライ美人がいるんだようねぇ?」
かわいらしく小首を傾げてみても、明らかに怒ったその表情は硬く、とても直視できないような冷酷な光を放っている。
しかし、そんなものは慣れっこであるアスマが、そっとカカシを手招きする。
「おいおいおいおい・・・お前あとで俺の謝れよ?」
そういって、自分が覗いていた垣根の隙間を明け渡す。
カカシがいぶかしみつつも、その隙間をのぞいてみれば・・・
「・・・・・」
言葉に表せないほどの愛くるしさと艶やかを兼ね備えたまだ美女ではなく、美少女が縁側に腰掛けて、小鳥といしゃべりしている・・・
「今日はあったかいってばねぇ?」
「ピピピピ・・・」
「サクラが咲いたってばねぇ?そろそろサクラ餅がたべたいってばよぉ」
「ピピピ・・・?」
「サクラ餅は、サクラ色したあんこのお菓子だってば。明日作ってみんなにもあげるってばねぇ。」
「ピピピィ!!」
・・・会話が成立している。
アスマが面白がってみているその横で、カカシは落雷にでも打たれたかのようにしびれていた。
(なんだあの可愛い子は!!小鳥と会話しちゃってるよ!!まんまるの目だよ!!まんまるほっぺだよ!!きれいな肌してたよ!!っていうか・・・かわいいいい!!!!!)
カカシはアスマの首ねっこをがつっつり掴んで、ひとまずこの場をあとにした・・・


「なんだよカカシ!!」
やっとのことでさきほどの場所に帰り、身代わりの紙をそっと片付けて、アスマがグチグチと小言を始めようとしたその時・・・
「アスマ!協力して!!」
そういって、国の一番尊い存在である天皇なはずのカカシが、身分が高いにしても一介の貴族に頭を下げた。
「おいおい。やめろって。どうした突然・・・とにかくはなしてみろ?」
そういって、アスマが気持ち悪そうに片頬をヒクヒクさせつつ、様子をうかがえば、信じられない一言・・・
「あの子が欲しい・・・」
「・・・」
「あの子が欲しい・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「だから!!
「わかってる!!いや・・・わかったが・・・まさか、一目ぼれか?」
「あぁ」
「・・・・・・はぁ。噂によると求婚した貴族に無理難題を押し付けて帰しているらしい。そんなヤツをとなると骨が折れるぜ。ついでに、あそこのジジババは、あの子をしすっげぇ大事にしてるようだしな・・じゃなきゃあんな呑気に育たないだろうし・・・ついでに、行動するには日が悪すぎる。1週間は待て」
趣味で陰陽師になったようなアスマは、これでも当代一と謳われる術者で、そのアスマが言うのなら、きっとそれは本当で・・・でも、カカシと手本気なのである。
「じゃ、一週間待ったらうまくいくの!?」
普段ははんなりっていうか、だらりッて感じのカカシにガツガツ来られて焦り気味のアスマは、ニヤリと笑う。
「次の、満月なら。そんで、どうやってモノにするんだ?」


ここから、作戦会議は夜半すぎまで重ねられ、二人は綿密な計画を練るのであった・・・

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