シンデレラ君3

城ではあいかわらず挨拶が続いています。
『うみの家令嬢・・・サスケ様〜シカマル様〜』
いつのまにかたばこを吸いに行ってしまったアスマにかわり、別の従者が名前を呼んでいます。
「やっとか・・・」
「さっさとやってさっさと帰らないと、ナルトが心配だ・・・」
ふたりの令嬢が慇懃無礼に頭を下げた瞬間。カカシが動きを止めました。
「・・・あの子だ」
そう言って、カカシは二人の合間を縫って歩き出しました。
その先に居るのは
「食堂はどこだってばよ〜!?」
迷子のナルトでした。
「君、どうしたの?」
カカシに声をかけられて、飛び上がるように振りむいたナルト
「ここでおいしいラーメン食べれるって聞いて、こんな格好までしてきたのに、食堂の場所が分かんないんだってばよ!!」
ナルトが正直にいえば、カカシが笑って「こっちだよ」と導きます。
そっとエスコートされる様は、一服の絵のように美しく、従者の計らいで天蓋を下されてそれ以上見ることのかなわなかった参加者たちが囁きます。
「あんなにきれいなご令嬢どなたかしら?」
「きっと遠い国から来たのね・・・」
しかし、ここで気づく
「あれは・・・ナルトだよな?」
「ナルトだな」
「めんどくせぇ事になったぜ」
3人はあきれながら、ナルトが消えていったほうを眺めるのでした・・・



「うっめ〜!!このラーメン最高!!」
一方で、キッチンではカカシがシェフにお願いしてラーメンを作ってもらい、食べているところでした。
「いつでもつくってもらえるようにしといてあげるから、またおいで?」
カカシが頭をなでると、ナルトはくすぐったそうに首をすくめます
「でも、今日は早めに帰んないと、いい子で留守番してるって約束しちゃったんだってば!!」
見事にナルトをほっぺにくっつけたナルトはにこっと笑って席を立とうとして瞬間・・・
『リーンゴーン・・・』
「ヤバイ!!鐘なっちまったってば!!」
いきなり立ち上がって、玄関へダッシュするナルトにあわてて立ち上がったカカシは追いつくことができない・・・。
待っていた馬車のって去っていくナルトをみおくることしかできなかった・・・。
その足元に転がっていたガラスの靴を大事に抱えて、カカシは城へ戻って行くのです・・・
「おい・・・さっきの別嬪さんはどうした?」
ニヤついた顔のアスマが、黒髪で胸元もたわわな女性の方を抱いて声をかけてきた。
「逃げられた・・・そのひと誰?」
「日向家の家庭教師で、今日はヒナタ様の従者で来ております。夕日 紅と申します。」
自己紹介をされて一応頭を下げたカカシ。
「で、俺がテイクアウトしてきた。」
アスマがニカっと笑う。
「アスマ〜」
その笑顔にイラっときたカカシ
「この靴が入る子探してきて。」
そういってガラスの靴を渡して、自分は寝室に入っていった。
「・・・ご愁傷さま」
紅があきれたように手を振って、さっさとヒナタのもとへ帰って行った・・・


そのころ・・・
「ナルト!なんであそこにいたの?」
「なんか、変なおっさんにそこに行ったらおいしいラーメン食べられるって言われたんだってば!!そんで、ラーメンうまかった」
「「「!!??」」」
3人は驚愕して顔を見合せます。冷徹で傲慢で手が早いと有名なカカシ王子がラーメンをワザワザ食べさせてあげたとなれば、ナルトの身が危険です。
「早くナルトを隠すんだ!!」
「チッ!ウスラトンカチ!修行付き合ってやるから屋根裏行くぞ!」
「わ〜い」


『ピンポーン』
「「きた」」
臨戦態勢のシカマルとイルカ。そっとドアを開ければ、いたのは目の下にクマがある大男・・・
「これはこれは、アスマ様、自らいらっしゃるとは・・・」
イルカがそっと椅子をさしだして、座らせればアスマはどっかりと腰を落ち着ける。
「この家は・・・2人か。さっさと試してくれ」
そう言って、靴を差し出します。
そこへ
『ガッシャン』
「失礼いたしました!!」
あからさまにわざとイルカが靴の上に紅茶をポットごと落とします。
「大丈夫。ガラスに見えてプラスチックだから」
愕然とする二人。
「さっさと試してくれ・・・。」
諦めたようにシカマルが試しますが、足に合わず。
「もう一人はどうした」
目不足の鋭い視線で睨まれれば、シカマルは仕方なくサスケを呼びます・・・
サスケも靴を試しますが、合わず。
「コレで全員だな?」
確認して、アスマが席をたとうとした瞬間・・・
「なになに〜?なんだってば?あ!!俺の靴〜!!!」
好奇心旺盛なナルトが出てきてしまいました。
「アレは男ですから。ナルト!もどりなさい」
必死に止めるイルカ。ナルトを奥へ入れようとするシカマル。しかし
「おう!!この靴履けたらうまいもん食わしてやるぞ?」
アスマが言った瞬間
「はけたってばよ〜」
さっさと履いてしまったナルト・・・
「じゃ、うまいもん食いにいくか」
そういって、アスマに小脇に抱えられたナルトは、カカシのいる城に迎え入れられるのでした・・・


「ナァルト!!いらっしゃい!!」
「おいしいモノ食えるっていうから来たってば!!」
カカシに抱き締められてもきにする風でもなく、ナルトがニコニコといえば
「食べさせてあげるよ?上にもシタにも・・・ね?」
そっとベッドルームに連れていかれたナルト。
アスマはそっと溜息をついて、さっさと寝に下がるのでした・・・
そのご、二人の寝室となった場所からは毎日、カカシが愛をささやく声と、ナルトがラーメンをすする音が聞こえてくるのでした・・・
めでたしめでたし?


  FIN



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