赤ずきんくん

ここはとあるお国の山の奥。
それはそれはかわいい赤ずきんくん「ナルト」と、そのお母さん(?)「イルカ」がひっそりと住んでいました。
「ナルト〜!!森の奥に住む火影おじいちゃんにこれを持って行っておくれ〜?」
イルカの声に、ダラダラベッドに寝っ転がっていたナルトが、トタトタと起き上がって支度をします。
「・・・イルカ先生〜。行ってきたら今日の夕飯はラーメンがいいってばよ!!!!」
ナルトがイルカに差し出された籠を受け取りつつ、キラキラした目を向けて言えば、イルカは呆れたようにして、うなずきました。
「やったぁぁぁ!!じゃ、速攻でいてくるってば!!」
そういって走っていくナルトに、イルカは優しい視線を送りつつ、
「オオカミに気をつけてなぁ!!」
そういって、手を振り続けます・・・


『グーーー』
さてさて、森に入ってみれば、なんという事でしょう。激しくおなかがなってしまいました。
「うわっ!!俺ってばお昼ご飯たべてねぇ!!」
自分の部屋でダラダラしていたナルトが突然動けばおなかも減ります。
「じっちゃんこんな喰わないし・・・いっか!!」
そういって、ナルトは籠の中にあるおにぎりをひとつパクッと・・・
「うま!!さすがイルカ先生!!」
ルンルン気分でおにぎり一つを完食してしまいました・・・
そして、籠の中の隙間に気づいてしまいました・・・ここからおじいさんの家へは、まだまだ掛かります。その間一切揺らさずに持っていければ、ごまかせるかもしれませんが、隙間が開いたことによってすでに形が崩れている部分があるため、ナルトは一気に焦りだします・・・
「どうしよう・・・」
はたっと見てみれば、今ナルトが歩いている一面お花が咲いています。
「はなをつめればばれないってばよ!!」
名案とばかりにポンと手を叩いて、ナルトははなをつみます・・・しかし、そこは何と!!銀狼「カカシ」の住む場所なのです!!そうとも気付かずにナルトが大きな声で鼻歌を歌いながらお花をむしって・・・摘んでいます・・・
「君は・・・赤ずきんちゃんカナ?」
あぁ!!やっぱり見つかってしまいました。カカシはナルトのオレンジ色のジャージからみえる鎖骨をニヤッとした顔で見つめ、声をかけました。
ナルトは、籠の隙間を埋めることなどの経緯を話しました。すると、
「じゃあ、この先に木の実がなっているから、そこで摘むといいよ」
人の良さそうな顔と声で親切に教え、それに素直にお礼をいって走っていくナルトを見送り、カカシはダッシュします。
「お爺さんの家に届けると言っていたから、その付近にいれば、あのカワイ子ちゃんにまた会える!!!」
もう変態でしかないニヤニヤ顔を隠すことなく、カカシは疾走します。


『バン』
「じいちゃん!!きたってばよぉ!?」
果物を詰めた籠を持ったナルトが元気にドアを開ければ、普段はイスに座っている火影はベッドの中にいます・・・
「じいちゃんどうしたってばぁ?」
イソイソとのぞきに来るナルト。
「じいちゃんなんで片目かくしてるんだってば?」
「お前の可愛さに両眼で見たらクラクラしちゃうからね」
「なんでそんなにやる気のない声なんだってば?」
「これは、体力を温存しているの」
「なんでお口隠してるんだってば?」
「だって・・・」
そして、おじいちゃんの服をきて、おじいちゃんのベッドで寝転がっていたカカシが、そっと、口布を外しながらナルトの方に向き直る・・・
「だって、コレしてなかったら、ナルトを喰っちゃいそうなんだもん!!!」
そういって、口布をとってしまったカカシは、さっさとナルトにチューをする。
「俺ってばくわれちゃうの!?」
銀狼のカカシだと気付いたナルトは、プルプルと震えながらもカカシの腕の中に収まってしまっています
「ま、正確に言うと肉体的に食べるのはナルトだけど、精神的には完全に俺が喰っちゃう方だねぇ・・・」
カカシのつぶやきに、ナルトの頭の上には盛大に???が浮き出し、それでも食べられてしまうことはないと、わかりひとまず胸をなでおろした。
しかし・・・
「いただきますっ!!」
カカシのあいさつと共に、ナルトはその油断を後悔しまくる結果となった・・・



「狩人さん助けて〜!!」
なんとかかんとかイタイ腰を引き摺って通りすがりの咥え煙草に髭の狩人に助けを求める・・・が、
「・・・俺は触らぬ神に祟りナシ派だ・・・」
といって、足早に去って行ってしまった・・・
「さ、ナルト!!もう一回食べさせて?」
「ギャーーーーーー」
こうして、あかずきんくんは狼さんにたべられちゃいましたとさ・・・



  FIN
ちなみに・・・
「・・・なんでワシはこの寒い中に、服を剥がれてこんなところに放置されにゃならんのじゃ!!」
じいちゃんは家の外につるされており、通りすがりの咥え煙草に髭の狩人に助けられて、なんとかイルカのいる家に届けられましたとさ・・・


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