びじょ(?)と野獣5

「ナルト・・・愛してるよ?」
カカシの寝室から聞こえてくる愛のささやき・・・
「カカシ・・・俺ってば・・・うぅ・・・」
ナルトの甘えと不安のいりまじる声に、カカシの低い声が重なる
「俺の目を見て?俺の目はナルトを見るためにあるんだ・・・俺の耳はナルトの声をきくためにあるんだ・・・俺の手は、ナルトに触るためにあるんだ・・・」
カカシがそっとナルトに触れる


『どーん!!!!』


「なんの音だってば?」
まさにメイクラブ寸前の轟音に、カカシががっくりと肩を落とす。
『バーン!!』
「かかれ〜!!」
遠くで聞こえてくる戦闘の音。
明らかになにかが倒れるような音・・・
ナルトがふいにベッドから降りようとする。
「みんな大丈夫かな?」
そんな小さな声に、カカシはふっと頬笑みを漏らす。
「大丈夫だよ?今はあんな姿だけど、あいつら元々は使用人兼私兵だから。結構強いよ?特に、燭台のヤマトなんて、とっても強いんだよ?」
ほほ笑むカカシにそっと背に乗せられて、ゆっくりと喧騒から離される。
「ナルトはあぶないからね?」
にっこり笑うカカシの背後に、きらりと光るナイフ
「カカシあぶない!!!」
間一髪ナイフを避けて、カカシが振り返る。そこにいるのは、ギラギラした目をしたサスケ・・・
「そいつは俺の嫁だぁぁ!!」
ナイフや弓で武装し、稲光を背負って叫ぶ姿は勇壮で、しかし、そんな姿には目もくれずに、カカシがナルトをクローゼットの上に乗せる。
「ナルトはここにいて?ヤマトたちが来たらきっと下ろしてくれるから。」
そういって、カカシは室外に走る。それを追ってサスケが駆けて行く・・・
「カカシ!!」
叫ぶナルトに、
「ナルト!!俺の爪はナルトを守るためにあるんだ!!」
カカシは叫んで城の上へ上へと登っていく・・・もう、ナルトからは見えない・・・



「さて・・・ここならいっか?」
カカシは走る足を留めて、息を荒げてついてきたサスケに眼光を向ける。
「ハァハァ・・観念したか・・・はぁはぁ・・・」
「・・・お前さぁ・・・なんっていい時に入ってきてくれたワケ?」
さきほどまでナルトに語りかけていた風貌とは打って変わっておそろしいほどに鋭い眼光と、オーラにサスケが一歩引く。
「だいたいさ、誰に許可とって俺の嫁とかほざいてんの?マジで怒っちゃうよ俺?」
一歩近寄るカカシの迫力に、サスケがさらにひく。
「クッソォ!!お前なんて!!」
震える足をなんとか動かして、カカシに向かって行くサスケを、カカシが掴みあげる。
「もうさぁ・・・とりあえず村に帰ってくれる?俺たち初夜なあワケ。そんでもって、もうちょっとでナルトがその気になってくれてたワケ・・・そこに入ってくるって!!!ちょうどいい時に『ドーン!!』って・・・お前ら・・・もうっ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!どうしてくれんの?俺のこの巨砲をさぁ!!やる気マンマンだったのに・・・ハッ!!」
のど元を掴まれて抗うサスケに鼻息荒く捲し立てるカカシ。しかし、そのカカシが突然倒れ、サスケを上に乗せた。

「カカシ〜離れろってばよ!!」

なんとかかんとかクローゼットから降りて、ナルトが来たのである。
情勢は客観視するなれば、サスケに抑え込まれたカカシが必死にサスケの顔を抑えて抵抗しているような様である。
「・・・え?・・・俺は!!なにもしてない!!」
サスケが泣きながら怒っているナルトの方へ行こうとすると・・・
「こんな状況でなにもしてないなんて!!やっぱりサスケは乱暴ものだってば!!俺はカカシと静かにくらして、じぃちゃんもこっちに呼んで、たまに村の一楽にラーメンたべにいければそれでいいんだってばよ!!邪魔すんなぁ!!」
ベソベソ泣きだしたナルトに、サスケがカカシそっちのけでナルトに近寄る。
「ヒック・・・エッグ・・・どうしてサスケはこんなに優しいカカシをいじめるんだってばよぉ・・・み・・・見た目は怖い・・・けど、やさしいってばよぉ?」
周囲の皆が一様に『いやいたアンタにだけだから』と、心の底から突っ込みをいれること請け合いの非常に説得力のない言葉でサスケをとめるナルト。
その姿になんだかだらしなくニヤニヤしだしたカカシ・・・
「ナァルト?俺はこの野蛮な男とちょっと話合いするから、先に降りてて?」
ナルトが心配しつつもゆっくりと降りて行く姿をカカシが笑顔で見送る。そして、完全にナルトが見えなくなった瞬間・・・
「このままこっからいなくなれば許してあげてもいいけど・・・まだ粘るなら・・・」
ギラリと光るのは、眼光かその牙なのか・・・サスケが後ずさる。もうサスケの足元に下がれる面積はない。
『ガララ・・・』
サスケの足元の屋根が崩れる。階下に落ちたサスケ。
「つれてっちゃって?」
そういったカカシの指示を先日火影を街まで帰した馬車が落ちて気を失っているサスケを勝手に詰めて出発してしまった。



「ナ・・・ナルト・・・」
ナルトが見たのは、背中に弓傷をうけたカカシ。フラフラの足取りで、でもナルトの元に帰ってきた。
「カ・・・カカシィ・・・」
泣きながら抱きかかえるナルトの背に手を伸ばし
「君を・・・愛してる」
そう呟いて、カカシがそっと目を閉じた
「カカシ!!ヤダ!!ヤダよ!!しなないで・・・」
ギュッと抱きしめるだらっと力なく下げられているカカシの手がさりげなくナルトの尻に当たって一瞬動いたが、ナルトがそれに気付くはずもなく・・・
「俺も・・・アイシテルってば・・・」
そういって、カカシにキスをする・・・
次第に光り出すカカシの体。支えていたはずのナルトの手を離れ、空中に浮く。
獣の手だったものが人の手にかわっていく。
獣の足だったものもかわって、そのシルエットが銀髪の長身細身の男にかわった。
そして、光の収束と共にカカシが地に倒れる。
「・・・」
そっと近付くナルトに、カカシが呼びかける。
「ナァルト?俺だよ?」
その目は獣の時の色違いの双眸のままであることに気付いたナルトが、ギュッと抱きつく。
「カカシ!!!」
カカシはそっと、先が折れている弓と、穴があいているのに血の付いていない上着を足で蹴落としつつ、ナルトからの熱い抱擁にそっと応える。
屋敷中が人に戻るにつれて、城の中が明るく活気にあふれてくる。
見つめ合い、互いを確かめ合う二人は、そっと優しくキスをする。
「愛してるよ?」
「俺もだってばよ」



そして、二人はいつまでも幸せに暮らしました。

   
   おわり




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