感情×愛情

「カカシさん・・・」
しなだれかかってくる女は自分の武器が良く分かっているようで、俺に胸を押しつけて妖艶にほほ笑みながら誘ってきた。
「ねぇ?」
にっこり微笑まれれば、あらがうすべなんてない。
ここから一番近いベッドは、あいつの家。合鍵を出して、なんとなく予定を思い返してみる。あぁ・・・里への帰還は明日の昼だったかな?
きっとバレないね・・・
ま、きっとばれても気にしないんだ。
いつものようにいつものそしらぬ顔で、俺の体臭が化粧くさいことをとがめずに曖昧に笑うんだ。


「あ・・・はぁ・・・ステキ。カカシさん・・・すてきよ・・・」
あいつのベッドは古くて、二人分の体重を支えてギシギシ音がする。この女は前にも抱いたっけ?そういえば、あのときは俺の家だったな。そんで、あいつがベッドルームで寝てたからリビングのソファでヤッて朝起きた時、この女の分と俺の分の朝食が置いてあって、女にはオレンジの上着が掛けてあった。
現場を見ても気にしないんだッて思ったら楽になった。
俺、縛られるの嫌いだし、面倒なのも嫌い。でもセックスは大好きだから一人に合わせてスルなんて無理。いろんな人といろんな場所でヤりたいときにヤりたいんだよね。
上の空で腰振ってたら、ガチャなんて玄関があいた。
「あらら・・・帰ってきちゃった」
一言漏らしたら、女が突然あわてだした。
「だ〜い丈夫。あの子は気にしないから」
なんて言って抱き込んで腰振りに専念する。
『バサッ』
この部屋は狭いからきっとベッドのスプリングの音とか匂いとかで状況を理解してくれたみたい。普段だったら外に出ていくのに、今日に限って玄関に居る・・・どうしたんだろ?
あぁ・・・この家で女を抱くのは初めてだったね。驚いてるのカナ?
おれの行動に驚きを見せてくれるなんて、久々だね?


「ふぅ・・・」
すっかり出してしまえばあとはどうでもいい。
「カカシさん・・・あの子、まだあそこにいるの?」
そういえば、どうしてるんだろう?気配がしない・・・
「私・・・帰るわ・・・」
そう言って服を身につけて、早々に玄関に向かった
「きゃ!!」
玄関へ続く廊下のほうへ出た女の悲鳴。しかし、そこから騒がしいまでにどたばたと玄関を出ていったようで、情事の余韻にたばこを吸っていた俺の耳を刺激した。
「も〜・・うる・・・さ・・・」
そこで見たのは、ただ立っているナルト。その足元に転がるサンマ、ナス、コーヒーの入った買いもの袋・・・
「なに?」
俺と目があった・・・
「キャーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
ナルトが絶叫して、頭を抱えて倒れた。
本当に人間が出しているのかと疑いたくなるほどの絶叫だった。
「ナルト!?」
あまりの大声に耳をふさいで目を閉じていた俺が次に視界にとらえたのは、蒼白の顔で倒れているナルトだった・・・

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