助けを呼ぶ声10

泣きながら作った卵粥はなんかとってもおいしくて、俺はいつもより大きな鍋で作ったおかゆをそのままナルトのいるベッドルームへもっていった。
いつもは俺はナルトが食べるのを見てたり手伝ったりで一緒に食べるってことはしなかったけど、今日はこんなにおいしくできたから、一緒に食べようって思ったんだ。
大きめのお鍋と取り皿を二つ。
お粥用にスプーン。
部屋に入った瞬間、俺はそれらを落としそうになっちゃった。
ナルトが前みたいに笑ってたから。
「キャハハ!!くすぐったいってばよ!!」
俺の忍犬たちはナルトが大好きで隙あらばナルトのことペロペロしちゃうんだよね。普段は「くすぐったいってば」っていいながらひざから降ろしちゃうんだけど、今日は嬉しそうに笑ってる。元気に笑う声に、俺も笑っちゃった。
「ナルトが笑ってる!!!アハハ!!笑ってくれた!!!」
嬉しすぎて泣きながら笑う俺に、ナルトがそっと笑顔を向ける。
「カカシ先生。そばにいてくれてありがと・・・」
ふんわりほほ笑んだナルトは、まだまだ笑顔って言うよりはただ口角をあげただけのいびつな笑顔だったけど、俺にはそれが嬉しくて嬉しくて。
なんか、許されたような気になっちゃう。
俺の罪はもう許されたのかな。
俺はナルトをあいしてもいいのかな。
あんなに傷つけたナルトを愛するなんて、俺はなんてみじめで汚いんだろう。それでも、ナルトがほしいって思っちゃうんだ。
こうしてぎこちないけど、笑ってくれるナルトがいつも日か前みたいに天真爛漫な笑顔で俺に抱きついてきてくれる日を夢見てもいいんだろうか・・・
けれど、それまでにはまだまだ先は長い。
ナルトの表情はすっかりもとの無表情に戻ってるし、あいかわらず食事は俺が先に毒見しないと食べないし、忍犬たちにはペロペロさせるけど、俺がちょっと頭を撫でようとするとビクつく・・・先は長いし遠いし、客人という名の邪魔者たちは毎日来ては俺とナルトの二人きりの生活を邪魔してくるし、そろそろ昼間だけでも任務につけと火影様もうるさい。問題は山盛り。
ま、ナルトのぎこちない笑顔が俺に向くのならそんな問題も解決いたしましょ!!
もう、お前の助けを呼ぶ声を聞き逃すことがないように、ずっとそばにいるからね?



   FIN

「カカシ先生・・・らーめん連れてって」
・・・うん。
わかってるよ・・・
お前の愛は俺よりラーメンに向いてることくらい・・・
わかってるから泣かないもん!!!

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