助けを呼ぶ声8

火影様が帰った後、俺はカカシ班をしばらく預ける「テンゾウ」に軽い引き継ぎのための伝書鳥をとばして、そのあとナルトのご飯を作る。
はじめてナルトにご飯をつくるからちょっと緊張する。俺の愛情が伝わればいい。俺の思いが伝わればいい。それだけを願って作る料理はいつもより時間がかかる。
ナルトの体をさっき見たときに、明らかに食べてないのが見てとれて俺は胃に優しいものをってことで、卵を入れたおかゆを作った。栄養満点にするために入れた卵がいい感じで、きっとこれならナルトはちょっとはわかってくれるかな?

「ナルト〜。ごはんだよ〜」
もっていった小鍋をベッドの横において、ナルトのためにテーブルを近づける。
無表情なままだけど、忍犬が気に入ったのか抱っこしていたからそっと手を差し入れて忍犬を受け取る。
「さぁ、ご飯を食べて?」
忍犬の前足をうごかしておかゆの鍋をさした
「ぷっ」
ナルトが小さく笑った。
俺に向けた目を一瞬だけど細めて笑ってくれた。そして、俺の作ったおかゆをそっと口に運んでくれたんだ。
「あれ?なんで毒入ってないの?」
その一言に悲しくなったけど、俺は忍。そんな感情おくびにも出さずに笑ってあげた
「俺はナルトに元気になってほしいの。毒なんて入れ〜いよ?」
そう言って笑って俺も一口食べてあげたらナルトは安心したようにパクパクと食べだした。なんか、嬉しいような悲しいような・・・
食べ終わったナルトにもう一回
「ナルト・・・今までごめん。俺、狂ってたんだ。毎日毎日イヤな大名の護衛して、ちょっとずつ狂ってたんだ・・・でも、お前がずっと俺を守ってきてくれたんだよな・・・お前が俺が完全に狂っちゃうのを止めてくれてたんだよな・・・でも、そのせいでお前がコワれちゃった・・・。俺はもう大丈夫だから。今度はちゃんと声に出して約束するよ!俺はナルトを傷つけない。だから、もう大丈夫だよ?俺を信じて?」
無表情のままのナルトはまるで聞いてないみたいな顔で俺の目を見てる。
真意を探ってるのか、それともただただ俺を見ているのか。
それきり、俺もナルトもしゃべることはなくて、俺はナルトが視線を外したのを見計らって椅子に座って本をよむ。
なにをするわけじゃなくて、ただそばにいようって思うんだ。
なにしていいかなんてわかんないし、どうしたら良くなるかなんて、余計わかんない。だから、とりあえずそばにいてみよう。
俺はこの日から、毎日をナルトのそばで過ごすことにしたんだ。

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