助けを呼ぶ声6

一瞬、ナルトの顔が困ったのがうれしくて、俺はナルトを抱きすくめた。
そりゃ、俺だってすごい後悔があってどうしようもない気持ちなんだけど、俺の意識なんかより、ナルトの事のほうが数倍大切で、とにかくいまはナルトの感情をみたいんだ。
「カカシ先生・・・いたい・・・」
どうやら俺がキューって抱きしめすぎたらしくて、俺のベストの胸ポケットが当たってるらしくて、ナルトがしきりにほっぺを気にしてる。
さっきまで俺に殴られたりしておもいっきり青くなってるから、きっとそれにあたっちゃったんだね。
「ごめ〜んね?」
なんて、ナルトに笑いかけてみたんだけどナルトの顔はやっぱり無表情で、でも
「ころしてくれないなら良いってば。好きなだけやりたいようにやればいい・・・俺ってばもう、どうでもいい・・・」
少なくとも死ぬことは諦めてくれたみたい。
「じゃ、俺の好きにしていいのね?」
そういった瞬間、ナルトの顔が一瞬こわばった。
「・・・怖いならそんなこと言っちゃダメでショ?ナルトだっていたいのはいやなんだよな?」
ナルトの頭を撫でようとした瞬間
『パチン』
手をたたかれた。血が少なくて寝てる状態のナルトにたたき落とされた手は行き場がなくて、なんとなく見つめてみる。
「優しくしないでってば。それ以外だったらなにしても良いってば。」
残酷な言葉だよね?
優しくしてはいけないって・・・
俺はただナルトを傷つけちゃった分、きっと信用がないだろうからなんとかして信用を、ナルトの表情を取り戻したくて、俺はできるならすべてをなかったことにしたい。ただただ信用されようとしてた俺に、信用してくれようとしてたナルトに戻りたいし、戻ってほしい・・・でも、壊したのはおれだから、今度はちゃんとまちがわないようにしないと・・・
「じゃあ、そばにいるよ。ずっとそばにいる。」
俺は寝転がってるナルトのほっぺに手をあてて、見つめる。
「・・・好きにしろってば」
そういって、ナルトがおれから視線をそらした。
「ちょっとキッチン行ってくるからナルトはここにいてね?」
そういって俺はさっさとキッチンでそこら辺にあったタオルを濡らしてもっていく。ついでに影分身を出して俺のベッドをきれいにしてもらう。
部屋に戻って、ナルトの顔をそっとふいて血とか汚れをふき取って、お姫様だっこでベッドに寝かす。
「ナルト・・・しばらく任務はお休みしよう?お前も俺もしばらく時間が必要だ。火影様にも話をしないと・・・」
「じゃあ、俺は誰かにやられたことにしてってば」
「どうして?」
「だって、カカシ先生と俺は里では付き合ってるってば。もし、カカシ先生が俺を・・・俺を・・・きっとみんながカカシ先生を心配する。」
ナルトは隠そうとしてるのか・・・確かに『だれか』は里にたくさんいる。
ナルトを傷つけようとしている輩なんてたくさんいるし、ナルトを襲った『誰か』を里の人々はかげで褒めて、捜索しないだろう。障害事件なのに、捜査されない。
なんて腐ってるんだろう・・・でも、そのおかげで助かる俺はもっと腐ってる。
「ナルトはナルトだよ。里が俺を心配しても、俺はナルトを心配する。ナルトのそばでずっと、だから俺を信じて?」
とにかく一度火影様と話さないことにはどうにもならない。
俺と付き合っているという話が出てから、ナルトが俺以外に暴行を受けていないのは確かで、少なくとも俺の威光でナルトが無事・・・ではないけど、ひとまず標的になることが避けられているのは事実だし、しばらくは『誰か』のせいにしてしまおう。
俺だって自分から火影様に打ち明ける勇気も、ナルトのそばを離される覚悟もないし、なにより、こんな状態のナルトを手放す気にはなれない。
「これから火影様のところにいってくるから、ナルトはちゃんと寝てて?ついでに造血薬と、おなかに優しそうなものを買ってくるから。」
ナルトが無表情に俺を見上げた。
「ラーメン・・・」

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・今はとりあえずおかゆ食べよう?ラーメンはもうちょっと体がよくなったらね?」
「らーめん」
・・・この子は精神がこんなにむしばまれてもラーメンへの愛情はうすれないのね・・・俺もこれくらい愛されたい・・・
ん?
アイサレタイ?
あれ?
・・・ん〜・・・ま、いいか。火影様に報告を入れて、長期休暇をもらってこよう!!

「忍犬置いていくから、何かあったらすぐ帰ってくるから。いってきます」
言い置いて部屋をでた。

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