助けを呼ぶ声5

「俺は狂ってないよ。ナルトが信じてくれようとしてた俺にもどったんだよ。ナルトのおかげで・・・」
頭を撫でてそっと視線をあわせれば、ナルトが一気に表情がなくなった。
「最初はそうやって撫でてくれた『信じて』って言われてる気がして、俺ってば嬉しかったんだってばよ。毎日毎日撫でられるから、俺ってばカカシ先生は良い人だって思ってたんだってば。そんな先生をしんじて、俺ってば馬鹿だから好きになっちゃって・・・人を好きになれたことが嬉しくて、嬉しくて、つい言っちゃいけないことを言っちゃったんだってば・・・
狐の俺が・・・人を・・・好きになるなんて・・・。
最初に家に呼ばれたとき、もうわかってたんだってば。カカシ先生の目が、優しくなくてきっとヒドイ目に遭うって。
部屋に入った瞬間に蹴られたときにもう諦めたんだってば・・・
でも、大好きな人に殺されるって贅沢なことだと思うんだってばよ。最後までその人を見ながら死ぬ事が出来るってすごい幸せだってば。その人の視界に入ったまま、その人を視界に入れながら死ぬんだ・・・俺ってばきっとすっげぇ幸せ・・・
俺を殺せばカカシ先生は里の英雄になれるってばよ?きっと、みんながカカシ先生をほめてくれる。」
真顔っていうより、まったく表情がなくなってるナルトの顔には俺が付けたあざが頬にあって、口から吐いた血が固まってヒドイ状態だった。
俺は本当は病院に連れていこうとかおもってるんだけど、ナルトが俺に触らせない。
俺の手を拒絶する代わりに、クナイを求めてくる。
俺に殺されることが幸せだとか言ってる。
「ねぇ、ナル「そうやって名前を呼ぶからカンチガイしたってば。今までみたいに『おい』とか、『お前』とか、『狐』って呼べばいいってば。」
俺は名前すら呼んでなかったのか?
そんな状態で俺は何をしてたんだ・・・なにを思ってたんだ・・・
「ナルト!!ごめん!!!ごめんなさい!!俺・・・オレ・・・どうしたらイイ?」
小さいこどもみたいに泣きながらナルトに謝って、どうしたらいいかわかんなくて、ナルトに聞いてみる
「コロ「殺さない!!!もう二度と!ナルトを傷つけないよ」
嫌がるナルトの抵抗を無視して無理やりに腕に抱きこめば、出血しすぎてまだ動けないでいるナルトが一瞬だけ困ったように眉をゆがませた。さっきまでの無表情じゃなくて、一瞬だけど、表情があった。
俺にはそれが、すっごいうれしかったんだ。
俺の言葉とか態度とか、ちょっとだけナルトに届いたんだって思えて、すっごくうれしかったんだ・・・。

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