助けを呼ぶ声2

「ガッハァッ」
告白されてすぐ、俺はナルトを連れて帰った。
そして、ただただ殴って蹴って切って刺した。
そのたびに出来上がる傷を見て俺は喜んでた。
ナルトさえいなければ、俺はこんなに苦しまずに済んだ。俺という存在価値を無下に扱われることなく、先生と同じ里の英雄になってたかも知れない。なのに、俺の価値はブランド品と一緒・・・
『ガンッ』
「クゥゥ・・・」
ナルトの顔には一切手を出さないよ?その恐怖とか困惑の浮かぶ顔は面白かったから。
「ねぇ・・・」
なんか、なんとなくナルトに話しかける。ナルトの顔がちょっと明るくなったのがムカツク・・・
「なんで生きてんの?」
俺の投げかけた言葉を聞いた瞬間に感情が消えた。
「ごめんなさい」
ナルトが謝ったのがムカツクから、その顔を思いっきり蹴り飛ばした。殺さないように力加減はしたけどさ。
なんだか飽きてきたから、俺はさっさと部屋を出た。ナルトをそのままに酒を飲もうと夜の街へ・・・



その日から毎日、俺は任務が終わるとナルトを連れ込んだ。
周囲からは仲の良いカップルだと言われてるし、誰もなんにも気にしない。だって、ナルトは傷が治る。九尾だから。
ナルトは九尾・・・



「ぁうぅぅ・・・はぁはぁはぁ・・・」
この日も俺はナルトを蹴り続けた。
ナルトが吐いた血が赤いのが気に入らない。まるで人間のように赤い血が・・・
『ガン!!』
蹴りあげた拍子に思いっきり体の浮いたナルトはそのままクローゼットに体をぶつけた。
「ぐぅぅ・・・」
背中をしたたかに打ったナルトがうずくまる。
「・・・コロ・・・して・・・」
ナルトが発した一言にイライラする。
「それ本気?」
俺はナルトの髪を掴みあげてナルトと目線を合わせる。ナルトはほのかに笑顔だった。
「だって、大好きな人に殺されるなんて幸せだってば・・・」
まるで夢を語るように囁くナルトに俺のイライラが頂点に達して、ナルトの胸のあたりにクナイを構える。
「じゃ、殺してやるから俺に抱きつきなよ?」
お前には無理でしょう?だって今抱きついたらお前はクナイの餌食になるんだから。これでそのほのかな笑顔も消え失せて絶望の中をさまよってしまえばいい。
『ザクッ』
・・・
・・

ナルトは躊躇なく俺に抱きついた。
「なにしてんの!?」
刺さったクナイはナルトの胸から刺さって背中から先端が見えてる。貫通してる。
それでも、ナルトは俺に抱きついて離れないから、俺がナルトを引きはがす。
「しんじゃうよ!?」
俺のあわてる顔を見て、ナルトがほほ笑む
「同じ殴られるなら里の大人たちよりカカシ先生が良い。殺されるならカカシ先生にがいい・・・」
まるでプレゼントをもらったみたいに、そっと俺のクナイを拾いあげて見つめる。
「・・・カカシせんせ?さぁ・・・」
クナイを俺に渡して、あふれ出る血を構いもせずに起き上るナルト。きっと痛みを感じていないんだろう。
一方で俺はあわてふためいてた。
ナルトがコワれたんだ。
俺が壊したんだ。
俺が・・・




[ 71/95 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -