助けを呼ぶ声

たすけて
たすけて
たすけて

何度願ってもかなわない。
俺を助けてくれる人なんてこの世には誰もいない。
どうして生まれてきちゃったんだろう・・・
誰もいないところに行きたい



たすけて




「はい。おはよ〜」
「カカシせんせ〜!!!もう3時間も待ってるってば!!!」
「そうよ!!いつまでまたせるのよっ!!」
「フン」
今日も今日とて下忍の三人と、俺、担当上忍のはたけカカシがワイワイ騒いでいる。
いつもの光景。いつもの事。そして、いつものお決まりで俺の手はナルトの頭をなでる。
いつもいつも、俺が手を伸ばすたびに身構える。
きっと、俺の手をまだ信用してないんだと思う。
守られたことのないこの子にとって、きっと頭を撫でられるよりたたかれるほうが多いから、きっと警戒しちゃえうのは仕方のないことだよね・・・
「今日の任務は・・・・」
気にしてないよ。
申し訳なさそうにこっち見なくて大丈夫。俺は気づいてないことにしてあげるよ。
大丈夫。心も体も俺は傷つけないから。
大丈夫。


俺の中の凶暴な復讐心は九尾に向いてるよ。
ナルトには向いていないよ。
大丈夫。
大丈夫。
俺を信じてよ?



最近の任務は上忍としてのモノが多い。
しかも胸くそ悪い大名の護衛が多い。大名たちはしきりに自分の娘を俺に紹介したり、金とか女とかで俺を釣ろうとして来る。そして決まって言うんだ『あんな狐の監視なんかよりずっとイイでしょう?』と。
俺はナルトの監視任務がいやになることはないけど、こういう輩からの言葉とか目とかがたまにすっごくいやになる。
ナルトの監視任務さえなければこんな輩に絡まれることなんてないのに・・・。
そいつら成金は忍の血をほしがってるんだ。と、いうよりブランドを買うような感覚なんだと思うんだよね。手近にあるもっとも有名でもっともお高いブランドが俺で、俺には九尾の監視という誉れ高い任務まで付いてる。里の守護者みたいにみられてるんだろうね。実際はナルトのそばに、影のようにいるだけなのに・・・
毎日毎日、要りもしない護衛任務に付けられて、俺は正直まいってるんですよ・・・
そんなとき、ナルトから告白された。
「先生・・・俺ってばカカシ先生が好きなんだってばよ・・・」
ナルトらしくないうつむいての小声でだったんだけど、俺にはなんだかうとおしかった。
九尾がいなければ、先生は死なずに済んだ。
九尾が封印されなければ、俺はこんな面倒な日々にさいなまれずに済んだ。
九尾が・・・
九尾が入ってるナルトさえいなければ・・・・




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