ひろいもの3

今日から俺の家になった大名屋敷は、なんとも無駄に豪華で困っちゃう・・・
部屋はいっぱいだし、何より大名がそのまま残していった調度品が邪魔でしょうがない。大名が好きにして構わないって言ってたし、このまま使えるものは使うとして、あとは売っちゃおうかな!!せっかくだし、これからは長期任務とか行けないんだから、多少貯蓄しとかないとね・・・
さぁ、迎えにいかなくちゃ!!

『がちゃ』
地下牢のドアを開けて、そぅっと入ってみればそこはすっごい寒くて、その奥で首輪に鎖をつながれてうずくまるナルトを見つけた。裸で丸まっているナルトは血色が悪くてやせ細ってて、俺としてはもう涙でそうなくらいカワイソウな姿だった。
そして、そのナルトに寄り添うように寝ている大きな犬・・・
きっとナルトを育てた犬なんだろう。
俺の気配に起きあがって眠るナルトと俺の間に立ってそりゃもうすさまじい威嚇決め込んでる。立ちあがった姿を見ると、メスなのかな?
俺は忍犬にするみたいにとりあえずしゃがんで目線を合わせてみる。
よく見ると、この地下牢に設置されているおもちゃやトイレは犬用で暖かそうな毛布が引かれた部分は犬用ベッドなんだろうな・・・
「ヴゥゥゥ・・・」
じっとこっちをにらみながらもそっと近寄ってきた母犬に自分の臭いをかがせる。聡い犬のようだから、俺が敵ではないことは理解してくれるだろう。


すぐに、母犬はナルトに寄り添うように座ってこちらを見た。
「くぅぅ・・・」
そっと鼻先でつついてナルトを起こす。
「わぁふ・・・」
大きなあくびとともに起き上ったナルトは、俺を見て文字通り飛び上がる
「キャンキャン!!!」
威嚇するように大きな声で吠えるナルトを、母犬は頬を撫でて落ち着かせる。
しばらくは興奮してフンフンはなを鳴らしていたナルトだったんだけど、辛抱強く待ってたら静かになった。
そっと近寄っても逃げずにこっちを見てるナルトに俺はそっと手を伸ばしてみた・・・
『ガブッ』
あららら・・・かまれちゃったよ・・・
「ん〜・・・口寄せ!!」
ダラダラ流れる血を構わずにとりあえずパックン口寄せ。
「なんじゃ?」
怪訝な顔でこっちを見てるパックン
「あのさ。この子の言ってることわかる?」
そう言ってナルトを指さしたら、眉根を寄せた
「ぅわん!!!」
パックンをみて興奮したのか、ナルトが大きな声で鳴いた。
「・・・こやつは動物の言葉を話しておる」
びっくりしたみたいな顔でパックンが教えてくれた。
そりゃそうだよね・・・だってお母さん犬だもん・・・
しばらくは犬の会話を傍観してか俺なんだけど、ようやくパックンがこっちむいてくれて
「ぬぬぅ・・・・こりゃ重症じゃ。自分を犬だと思いこんでおる。。。ここから出たことはないそうじゃ。食事のときだけご主人さまが入ってきてご飯をくれるんじゃと。だが、今日は違う誰かが入ってきたから驚いた・・・と」
ん〜・・・だれかって俺かねぇ?ま、俺しかいないか。
「じゃ、今日から俺と一緒に住むんだとナルトに伝えてくれない?あと、ナルトのお母さんにも・・」
そう言ったらパックンが驚いたようにこっちを見た。
「なにを言っておる!!ここにはナルト以外おらぬではないか」
えぇぇぇぇぇ!?
パックンの目の前にいる犬はなんなのさ!!
「見えないの!?ここにいるじゃん!!でかいゴールデンレトリバーがっ!!!!」
そういって指さしたんだけど、よくよく見れば、なんかこの犬・・・透けてる?
「うわぁ!!・・・あららら・・・そういうこと。」
なんか納得した俺はその母犬に語りかける。
「心配しなくていいよ。俺がこれからこの子を守っていくから。ちゃんと人間として育てて守っていくよ。あんたも安心して天国で見ててよ。大丈夫。俺は今までのあんたのご主人とは違うよ。ナルトにヒドイことはしないって誓う。」
俺の真摯な思いを告げたら、母犬がすぅっとその場から消えていった。
小さく小さく、ナルトに向かって「わん」と声をかけながら・・・

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